元旦特別号・年頭講話「カオスの世界を生き抜く心得」

新年明けましておめでとうございます。
旧年中は誠にお世話になりました。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

◆林は3日(日)から9日(土)までドイツを訪問します。
新年の仕事始めは10日(日)からになりますことをご容赦下さい。頓首

◆12日(火)は浜松、15日(金)は神戸で講義します。
☆東林志塾(浜松)1月12日(火)午後6時30分~9時00分
会場:21世紀倶楽部(静岡新聞社・静岡放送プレスタワー)
世界は大転換期に突入!~年頭時事講話と年頭立志マンダラの発表
参加費:オブザーバー3000円
電話053・473・5715(事務局・野上孝さん)
→ hm813722@fsinet.or.jp

☆今啓林会(神戸)1月15日(金)午後6時半~9時
会場:神戸一宮神社 社務所  参加費:ビジター3000円
世界は大転換期に突入!~年頭時事講話と「一年の計」表明
電話078・242・3399(今啓パール(株)今井啓介さん)

年頭講話「カオスの世界を生き抜く心得」

◆民族大移動を伴う世界史激変の転換期◆

平成28年は、どういう年になるのか。これを論じたいところだが、今年一年を見ただけでは断片的なことしか展望出来ない。

世界はカオスの時代に入っている。思い切って大局に立たなければ、転換期の変動に振り回される人生で終わってしまうだろう。

文明評論家の村山節先生が確立された「文明法則史学」によれば、世界文明は東西に分かれ、800年周期で入れ替わってきた。その交代期(約100年間)は民族大移動を伴う世界史激変の転換期となるが、今回の交代期は21世紀、則ち今である。

文明交代期に入ると、それまで圧倒的な力で世界をリードしてきた旧文明が、音を立てて崩れ落ちていく。そして、旧文明の周辺に位置する異質にして野性的な集団が、旧文明に激しく襲いかかるのである。21世紀の今、旧文明と化したのは西欧文明であり、異質にして野性的な集団はイスラムとロシア、そしてチャイナではあるまいか。

パリでは、“イスラム国”による同時多発テロが起きた(昨年11月13日夜)。
米欧に組みするトルコと西欧に対して異質であるロシアは、シリア問題をめぐって対立関係にあったが、ついにロシア軍機撃墜という軍事衝突が起きた(昨年11月24日)。

13億6700万人もの人口を抱えるチャイナは、経済力を高めることで世界に躍り出たものの、人為による事故や災害、環境汚染が進行している。もしも一党独裁体制が破綻し、内部分裂したら、武装した難民が日本列島に押し寄せることになりかねない。

文明交代期は約100年間続き、今回は1975年~2075年が転換期となる。その中で2025年~2050年あたりが、最も激変期になると予(かね)てより予想されている(村山節先生)。

中東や北アフリカから欧州に押し寄せる難民問題は、とうとう「21世紀の民族大移動」(池上彰氏)と呼ばれるようになった。だが、民族大移動と呼ぶには、まだ入り口に過ぎない。ゲルマン民族の大移動を例に取れば、その内容は殺戮・略奪・暴行にあった。刃向かう男は殺され、食糧とめぼしい宝は全て奪い取られ、女はレイプに遭った。

これから先、膨張資本主義が終焉のときを迎え、人類の生活が一変せざるを得なくなる可能性がある。そうなれば、人類全体が「文明交代期の難民」と化し、酷ければ世界全体に激しい動揺が起きかねない。

そのときの備えを、今から整えておく必要がある。防衛・治安は勿論のこと、水・食糧・資源・エネルギーなどの確保が重要課題となる。その点、日本の地方は大変豊かだ。いずれ都会に住めなくなった国民が、地方に“民族大移動”を起こす日が来る可能性もあり得る。こういう話は杞憂で終わることを切に願うが、最悪の事態への対応策を怠ってはならない。

◆現代文明(西欧原理)の3つの限界

文明交代期の今、一番の問題は、次の文明を創造する原理が見当たらない点にある。西の文明が日没となり、東の文明が夜明けを迎えた現在、これまでの西欧原理の限界が様々な面で露わになってきた。

西欧原理の限界の第一は、「二元論的部分観」の行き詰まりにある。AとBが二元対立関係にあるとき、その一方を選び他方は捨てるという部分観があるが、これが物事の捉え方として機能不全に陥った。「西欧か非西欧か」であれば西欧を、「物質か精神か」であれば物質(で証明出来るほう)を、「人間か非人間(動植物や自然環境)か」であれば人間を最優位に選択するというあり方が限界を迎え、これまでの原理では転換期を乗り越えられない段階に到達したのだ。要するに「部分選択の文明」が限界に至ったということである。

西欧原理の限界の第二は、「欲望民主主義」の行き詰まりにある。民主主義の基本となる選挙制度は、単なる人気投票と化した。政党は「風」を期待して、国民におもねるばかり。マスコミも、それを煽っている。候補者は有権者の欲求・要求を汲み上げねば当選出来ず、政治家は万(よろず)便利屋に成り下がった。

法案は可決までに長い時間を要し、政治の意志決定にスピード感がない。
政治日程は選挙日程と連動し、政治家は4年先まで考えるのがやっと。
場当たり・横並び・先送りの政治が続き、「国家百年の計」はすっかり死語となった。国民は、勝手主義の自由と悪平等に狂奔し、低徳化する一方である。
投票率も下がるばかりだ。

西欧原理の限界の第三は、「膨張資本主義」の行き詰まりにある。そもそも、どこまでも右肩上がりで成長するような活動はあり得ず、経済にも循環があるのが自然だ。そうであるにも関わらず、世界経済の下降による混乱を避けるため、各国は成長を欲して必死になっている。

そうして、ひたすら規模拡大を目指して戦い、市場は戦場、同業者は敵、社員は道具となった。数字上の成果を上げても、実態は社長・社員・その家族・お客様・株主などの誰かをだまし、取引先・協力会社、あるいは地球環境などのどこかに迷惑をかけている有り様。

格差も広がるばかりで、膨張資本主義は最早(もはや)危篤状態にあると言えよう。いろいろな経済政策も、一過性の延命治療の域を出ていない。一日も早く私益中心の強欲経済から脱却しなければ、人類に未来は無いだろう。

なお、これら3点の限界を超え、次の時代を創造するために掲げているのが、国是三綱領の「共生文明の創造」「高徳国家の建設」「公益経済の確立」だ。
部分文明から共生文明へ、低徳国家から高徳国家へ、私益経済から公益経済への転換を進めていきたい。

◆経営者としての「転換期の心得」

では経営者として、この転換期に何を心得とすべきか。兎に角、一所懸命ファンを増やそう。ファンや固定客は、自社の存立基盤なり。そして、ファン獲得のために独自性を磨こう。独自性とは、本業や基本を生かした固有のお役立ち能力のことである。

また、品質を最高水準に高めよう。そうすれば、安直な安売り競争から脱出出来る。さらに、教育を徹底しよう。社長である自分と社員・スタッフが共に学び、共通言語を増やし、価値観(理念)を共有すれば、全社一丸となった連係プレーが可能になる。

それから、転換期になるほど、次の諸点を心掛けたい。原点を忘れず、理念からブレない。全体を観て物事を考え、遠くを見つめつつ決断を下す。近いところを見直し、今出来る事から始める。単なる人マネはしないで、これまで蓄積された基盤を生かしながら進化していく。一過性のブームに注意し、明らかに背伸びした拡大はしない。これらの心掛けにおいて、国是三綱領を参考にして頂きたい。

時々、世間の逆も意識してみることも大事だ。皆が見向きもしないところ、賞賛しないところ、バカにするところに、次の時代を創造する原石が眠っているものである。

なお、公益経済について補足を述べておく。公益とは、世の中全体の利益のことだ。私利私欲を満たして終わるのではなく、世のため・人のために働くのが公益経済である。公益経済は、略奪型の膨張資本主義を修正する進化型経済であり、次の三つの内容を持つ。

第一は、天地自然の働きを生かした循環型経済である「天本主義経済」
第二は、地産・地流・地消の「地域経済生態系」を基本とする「地本主義経済」
第三は、人が幸せになるための互恵繁栄経済である「人本主義経済」

「共生文明の創造」「高徳国家の建設」「公益経済の確立」の国是三綱領は、初めて聞くときは難しく感じるだろうが、よく咀嚼することで、その重要性が次第に理解されることと思う。