時間は掛かるが、手塩に掛けて志士育成をやるしかない

こんばんは。今日は孫の誕生日(9歳)。同級生が3人来て祝ってくれました。
台風12号が異例の進路で迫ってきています。明日は荒れそうですね。

◆来週は30日(月)が四国中央、8月1日(水)が東京、2日(木)が米沢で講義します。詳細は「連載」下の「8月度:各地志塾・勉強会ご案内」をご覧下さい。

●日記● 平成30年7月26日

◆7月26日(木)、林塾原典研究会(第1回)を林英臣事務所で開催。大和言葉(国学)の師匠・河戸博詞先生の音声記録を再生して学習。本日の演題はマナヒ(国学)。「クニ」とは何かについて学んだ。

参加者は下記4名。
福丸孝之塾士(1期生、大阪府茨木市議、綜學師範代)
上田光夫塾士(5期生、大阪府茨木市議、塾頭)
伊藤 央塾士(5期生、東京都小平市議、綜學師範代)
高橋浩司塾士(9期生、神奈川県鎌倉市議、政治家天命講座担当部会長)

●評論・随筆●

◆こうして騙す◆

おれおれ詐欺も、ネット注文詐欺も、相手の気持ちを一つに向けさせることで騙す。おれおれ詐欺では、息子が困っているということ以外考えなくさせる。ネット注文詐欺では「商品の用意が出来ました、お振込み確認次第発送します」などという案内で急かし、なんか変だなと思う余裕を無くさせる。

洗脳系の講座も似ている。講座やイベントを次々企画し、やたらに忙しくさせ、外部との交流を断ち切らせることで取り込んでいく。要するに、気持ちを他に向けさせないのだ。

一つのことに囚われたりせず、立ち止まって全体を考える余裕が欲しい。お互い、偏狭偏屈にならないよう注意し合おう。

◆国是を考える:その3◆
☆時間は掛かるが、手塩に掛けて志士育成をやるしかない

横並び民主主義の現代にあって、坂本龍馬のような“下級武士”なんているのかどうか。いるとしても、一体どこに潜んでいるのか。

そう思っていたところ、21世紀に入ったばかりの西暦2001年(平成13年)、長州・萩の松下村塾(松陰神社境内の講堂)で講義した帰りに啓示を受けることになる。「平成の下級武士は、地方議員の中にいる。志士政治家を地方議員の中から捜せ、そして育てよ」という声が聞こえたのだ。

啓示を受けた私は、フットワークのいい地方議員が立ち上がって日本を改新するという案を「国是担当地方議員構想」と名付けた。ちょっと難しい名称だが、「志の高い地方議員が日本の大方針である国是を担うことで日本を救う構想」という意味である。

そこで、以前よりも意識して地方議員に呼び掛けるようにしてみた。こちらの意識が上がれば磁力というものが生じる。既存の勉強会に参加してくれる議員が増えてきたし、若者中心の講座塾(名称は政経維新塾)も始めた。

だが、何かが足りない。それは、一体感のある結束力であり、活動体として軸のある動きだ。

このまま地方議員がちらほらやって来る状態を続けたところで、大きな事は起こせない。志教育に関する会議を催してもみたが、そこに来てくれる議員らは雛壇(ひなだん)に上がる“お客様”でしかない。なかなか同志になってくれる人はいないなあという悩みは尽きなかった。

そうしたら、また閃くことになる! そうだ、参加者をグッと絞り込もう。志士政治家を目指す者だけ集めた塾を開き、そこで毎月1回みっちり1年間講義するのだ。そうすれば、共通の文明観や歴史観、国家観や死生観を養った集団が形成される。時間は掛かるだろうが、手塩に掛けて志士育成をやり、そこから行動体を起こすしか日本を変える方法はあるまいと。

そこに到達した私は、2006年(平成18年)に「政治家天命講座」をはじめた。塾名は、既にあった「政経維新塾」のままだったが、しばらくして弟子たちが「林英臣政経塾」に改名した。林英臣という思想家に学ぶ政経塾という意味だそうだ。

以来13年間、基本的な講義内容は変わっていない。講義の中で私は、文明の転換を前提に日本を改新せよ、日本人としての誇りを持った志士政治家となれ、損得でしか動こうとしない膨張資本主義に変わる新しい経済原理を起こせ、などと訴えてきた。

やがて、それらは国是三綱領である「共生文明の創造」「高徳国家の建設」「公益経済の確立」へ繋がっていくことになる。

◆国是を考える:その4◆
☆国是を担う以上、国是イコール政治家人生でなくて何とする!

国是の必要性が、現下の日本において殆ど理解されていない。だから、この国是シリーズを書いている。第一、政治家が分かっていない。

国是は、会社なら社是に置き換えることが出来る。国是は国家の大方針、社是は会社の大方針だ。

会社の経営陣にとって、社是イコール自分の人生というくらい、社是と人生が一体でなければおかしい。

経営陣が社是を等身大に捉えていればどうなるか。経営陣の誰が語ろうが、その話から会社の全体像と将来ビジョンが見えてくるはずだ。

会社の将来を議論する大事な役員会議も、会社の大方針が周知徹底されていれば、単なる実践報告会や事例発表会で終わってしまうような愚を避けられるはずだ。

同様に、国是を担当する政治家から語られる言葉には、日本国の将来像と国民の進む道筋が表れていて当然なり。国是を担う以上、国是イコール政治家人生でなくて何とする。

国是を担う志士政治家から滲み出てくる言葉は、単なる評論や抽象論とはわけが違う。将来の理想を語る一方で、現実の諸問題を分析し、その理想と現実のギャップを埋めるための政策と工程がきちんと説明されていく。

それは、語れと言われてから慌てて述べるような場当たりなものではなく、言うなと言われても、つい口から出てしまうほど、已むに已まれぬ思いに裏打ちされている熱誠の吐露である。

だから、自分の主張や取り組みが、ひいてはどこかで国是に繋がっているという程度のものではない。国是担当政治家の頭の中には、日本に必要な様々な事柄がマンダラのように配置されていて、そこから縦横無尽に語られるようになって欲しい。

要するに、人生の根が日本全体に広がっているかどうか、我が事が日本全体に及んでいるかどうかだ。その人の政治的主張の目立つところに、トッピングのように国是を飾っている程度では全然お話にならないではないか。

では、どうするか。国是を我が事とする政治家に育つためには、文明学・歴史学・人物論・伝統精神・国民文化などを、しっかり学んでいなければならない。これらの素養が無いと、国是の本質を理解する力が湧いてこない。国是を少しかじっておけばいいだろうという程度の、トッピング政治屋は御免被りたい。

◆国是を考える:その5◆
☆世界は連鎖崩壊の危機にある!

私が林塾「政治家天命講座」を13年間やってこられたのは、政治が変わらなければ日本は良くならないと考えたからだ。そして「政治改革は政治家改革から始まる」という信念を持っていたからである。要するに、一流の政治家を育てたかったのだ。

一流の政治家とは何か。それは、今この時代に影響を与えられるばかりでなく、将来に渡ってその識見と行動が評価され続ける人物のことだ。

三千人の志士を育てた佐藤一斎という江戸時代後期の大学者が、「世間第一等の人物」ではなく「古今第一等の人物」となれと諭したのがそれである。とことん生きている間に活躍し、さらに死後になって高く評価されるほどであってこそ「古今第一等の人物」と言えるのだ。

それには、世界の動きを大局的に掴み、我が国の原点を深く学び、将来展望を綜合的・具体的に練り、志の高い仲間と共に一心同体となって行動していく志士政治家とならねばならない。要は、歴史の評価に耐えられる人物であるかどうかだ。

では、世界は大局的にどう動いているのか。それを知るための座標軸が、東西文明800年周期交代の事実を明らかにした「文明法則史学」だ。それによれば、21世紀は東西文明の交代期であり、2025年頃から2050年頃が文明転換の“暴風域”の時期となる。

2018年に始まった米中貿易戦争は、間もなく暴風域に入ることを示す予兆と思われる。アメリカは、今なら台頭するチャイナを叩いて、通信やハイテクなどの分野で優位性を保てると考えているのだろう。

経済面で世界各国は相互依存関係にあるが、ひとたびショックが起これば、動揺は連鎖的に広がって、これまで栄えた文明秩序が一気に崩壊へ向かうことになりかねない。

目の前の世界を見よ。衰退するアメリカは、覇権を守ることに汲々としている。欧州は、もはや欧州内のことで手いっぱいだ。そのアメリカと欧州の間に断裂が起こってきている。先のG7の首脳宣言後の紛糾や、イラン核合意からのアメリカの一方的離脱がその例だ。

チャイナはどうか。欧米が動揺する間隙を縫って経済的覇権を強めてきており、ドイツとは特に仲が良い。

文明法則史学から見れば、資本主義大国の最終ランナーとなったチャイナは、すっかりその膨張システムに填(はま)ってしまっている。13億人を共産党一党で支配するためには、独裁的強圧政治によって自由を制限する一方、不満が起こらないよう人民に豊かさを享受させ続けねばならない。経済成長のスピードを緩めるわけにはいかないと。

それにしても、チャイナの経済急成長を誰が導いたのか。それは欧米であり日本であった。チャイナの経済力を抜きにしては、一時(いっとき)といえども世界経済は成り立たないというところまできてしまった。

しかし、どこまでも右肩上がりで成長し続けるということはあり得ない。米中経済摩擦が高じて膨張資本主義が終焉のときを迎えるとするならば、それが、旧文明の終わりが判然とするときになるに違いない。成長し続けなければ生き残っていけないという膨張システムに、今やチャイナの指導者らは相当困っているはずだ。

また、連鎖崩壊の危機の中で、世界をまとめられる軸が存在しなくなってきている事実にも注目して欲しい。チャイナの軍事力を伴った覇権的膨張に対して、大国であるロシアやインドは恐れるばかりだ。ロシアは資源の豊かな中央アジアと、北極海ルートをチャイナに支配されることを憂いている。インドは、周囲をぐるっとチャイナに取り込まれてしまうことを危惧している。

こうしてみると、誰も次に来る世界と文明を描いていないということになる。新文明を起こせるだけの哲学思想、世界観や文明観が政治に無いのだ。この「世界の将来が見えなくなっている」というところに人類最大の危機があるのである。

間もなく人類は、文明交代期中一番の激動期に入る。このことから、我々は決して目を逸らしてはならない。

そして、世界が困っているところに日本と日本人の役割がある。その役割を明文化したのが、国是三綱領の「共生文明の創造」「高徳国家の建設」「公益経済の確立」なのである。
→次回へ続く