提言(前編):今という時代を知り、新しい国是と日本のあるべき姿を考える

こんばんは。
11月に入りましたが、各地で夏日となっていますね。

今まで唱えてきたことのまとめに過ぎませんが、野田総理に「提言」を渡しました。政経倶楽部連合会の吉田平理事長らが、先日首相官邸に届けてくれました。下記に載せましたのでご覧下さい。

●日記● 平成23年11月2日

★☆一年かけてバカに磨きをかけてもらう講座

11月2日(水)、林塾「政治家天命講座」第6期・関東11月例会で講義。
本日は来期予定者も聴講。テーマは山鹿兵学と葉隠武士道。

林塾に利口者は要らない。欲しい人財は大バカ者だ。計算高く、いつも得になる方に付いていくような利口者ではなく、損得を超え、大義のために体を張れる大バカ者が欲しいのだ。

政治家天命講座は、一年かけてバカに磨きをかけてもらうところに意義がある。大バカ者でなければ、幕末志士の如く狂挙に生き抜くことは出来ないだろう。

既に人生の基盤が固まっており、微調整以外に変化の余地が残っていない者もダメだ。政治家天命講座は、既存の殻を一度壊して貰うところから研修がはじまる。だから“終わっている人”には向いていないし、受講しても苦しむだけとなってしまう。そこを、よくよく考えて決めて頂きたい。

藩校の明倫館に飽き足りぬものを感じて松下村塾を志願した、久坂玄瑞や高杉晋作のような若者を募集しているのである。

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

連載は2回お休みし、先月末に政経倶楽部連合会が野田総理に渡した「提言」の、綜観が担当した「理念」部分の内容を下記に掲載します。
※実際の提出文は、です・ます調になっています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

提言(前編):今という時代を知り、新しい国是と日本のあるべき姿を考える

今、我々はどんな時代に生きているのか。現在という時点が、文明や歴史の流れの、どこに位置するのか。これを知らなければ、一国の宰相はもとより、リーダーたる者にとって、その指導は信念に裏打ちされたものにならないし、的確な改革も出来ないことになる。そこで、時間軸における立ち位置を、大局・中局・小局に分けて述べてみる。

大局~21世紀は東西文明の交代期

かつて列強として世界を制覇した西欧諸国に、往年のような勢いは既に見られない。20世紀に入って指導大国の地位をイギリスから継承したアメリカも、今日では長期衰亡期の中にあって、国力の低下に苦しんでいる。

「西の文明」に属する欧米諸国が衰退期にある一方で、「東の文明」に属する地域の活力が、20世紀の終わり頃より飛躍的に向上してきた。東アジアや東南アジア諸国の興隆、中国やインドの成長、西アジアのイスラム系諸国に見られる民衆の活気などに、そのことがよく現れている。

松下政経塾を創立した松下幸之助塾長(当時)は、第1期生募集時の「入塾のしおり」に次のような「塾長のことば」を述べていた(昭和54年・1979年)。

「世界の歴史を通観すると、繁栄の中心は時代と共に移り変わっている。古代、エジプト等中東の地において文明の発祥を見、ついで繁栄はギリシア・ローマをへて欧州全域に広まり、さらに近代にいたってアメリカへと移った。そのアメリカが停滞の様相を示しつつある今日、世界の繁栄は二十一世紀には日本をはじめとするアジアにめぐってくると思われる。従って、日本はいまから国の各面にわたって、きたるべき繁栄の受皿づくりに取り組まねばならない。
(後略)」

この松下塾長のことばに、21世紀の日本の指導者が持つべき文明観がよく示されていると思う。21世紀は「西の文明」が衰亡し、「東の文明」が興隆する文明交代期なのである。

中局~明治維新以来、「3回目の坂の上の雲」を描くとき

次に、中局として近現代日本史を見ると、2回の成長期が認められる。1回目は近代国家を力強く建設した明治時代、2回目は焼け跡からの再生に努力した戦後復興期だ。

前者の結末は、大正時代に一時の爛熟期を迎えた後、昭和に入って内政・外交共に混乱を来たし、敗戦亡国へと到った。後者の結果は、バブル経済期を繁栄のピークとした後、平成不況に突入し「失われた20年」に落ち込むこととなった。

明治が国是とした文明開化・富国強兵・殖産興業、戦後日本人が共通の目標とした焼け跡からの復興。どちらも40年程度しか保たず、後世にツケを残す結果にはなったものの、ともかくも苦労の向こうに仰ぎ見ることの出来る「坂の上の雲」であった。

日本の生成発展には、新たに「3回目の坂の上の雲」を描くことが必要だ。このためならば日本再生に本氣になれるという、過去2回をはるかにこえる、最低100年は有効な国家目標や国是が欲しいのだ。

小局~旧体制の破壊と新政府の誕生

そして、「3回目の坂の上の雲」を描くには、新政府の誕生が不可欠となる。旧体制の既得権益を打破し、文明交代期の激変に耐えられる日本を創生するため、それを担当する政治勢力を興さねばならない。ただしその役割は、既成政党の枠組みのままでは担えないと考える。

大雑把な予測であるが、節目として2020年くらいまでに新政府を誕生させなければ、日本の創生に間に合わなくなるだろう。文明法則史学(東西文明の800年周期交代を発見)に基づく研究では、21世紀の今が文明交代期であり、その激動が一番激しい時期は、2020~2050年頃と予想している。それより遅いと手遅れになり、我が国は世界の激動の中で自立力を維持出来なくなる恐れがある。

実際、世界に目を転ずれば安定に向かう要素は乏しく、混迷を深めると思われる問題が山積みだ。衰退するアメリカは、米国債にデフォルト(債務不履行)の恐れがあり、ドルが基軸通貨の地位から転落しかねない状況にある。ユーロにも元にも不安があることから、世界経済は多極化時代を迎える可能性が高まっている。

政治理念や歴史観、国家観などを共有する政治勢力の誕生を

そうしてみると、2020年までの間、日本はアメリカの衰亡と、不安定ながらも膨張を加速させていく中国との間に挟まれることになる。まだしばらくは米軍の後ろ盾が必要だが、間もなく米軍をあてにできなくなるということを想定しておかねばならない。

中国は文明転換期に出現する“膨張帝国”となる恐れがあり、今世界中で資源獲得戦争を展開させている。800年前のモンゴル民族、1600前のフン族+ゲルマン民族、2400年前のアレクサンドロス大王の大遠征に匹敵する活動を起こしかねないのが21世紀の中国なのである。

何とか独立を保っていられるであろう2020年までが、日本にとっての正念場だ。今2011年だから、残された時間は多くない。この数年間の内に、まず「旧体制の解体作業」をやり、2015年あたりに新しい政治勢力の“芽”を起こして「新体制の建設準備」を進め、2020年頃には新政府を誕生させて「3回目の坂の上の雲」のもと、日本を再生・創生させねばならない。

家の建て直しでは、最初に古屋を解体し、地均しを行ってから基礎工事を行い、それから骨格を組んで新しい家の建設が進んでいく。社会秩序も、内部がすっかり腐っている場合は、まず旧体制の解体作業から取りかからねばならないのだ。その解体作業を怠り、崩れゆく幕府の修繕をするような政治を行ったところで、歴史に対しては何の役にも立たないだろう。

とにかく、卓越した政策やアイデアがあっても、それを生かす人物群が育っていなければ実現は不可能となる。国是や政治理念、歴史観、国家観などを共有する政治勢力が誕生しなければ、日本再生は絵に描いた餅で終わってしまうのだ。そこで次に、新しい国是について述べよう。(後編に続く)