松下幸之助塾長が提唱された「新しい人間観」と「新しい人間道」

こんばんは。皆さん、お元気ですか。欧州各国の新型ウイルス蔓延に比べると、我が国の医療体制の充実ぶりが、次第に分かってきましたね。

今月予定されていた林塾の講義(4回)が、新型ウイルス対策によって1回のWEB講義に差し替えられたため、庶務と講義準備に費やす時間が取れました。

そこで、松下幸之助先生が提唱された「新しい人間観」と「新しい人間道」の講義準備を始めたところです。

●評論・随筆●

◆松下幸之助塾長が提唱された「新しい人間観」と「新しい人間道」◆

互いに非難し合って排斥する。相手を見下し、決して受け入れない。どこまでも争いを続け、どちらも不幸になっていく。

それが人間の本質であり、結局滅びてしまうのが人間の宿命なのだろうか。いや、そうではない。人間は、もっと崇高にして偉大な存在であるはずだ。

そう思った松下幸之助塾長は、まず意識を宇宙に広め、宇宙の本質は生成発展にあると悟られた。宇宙に存在する一切の物は、常に生成し、絶えず発展していると。

そして、人間はその生成発展する宇宙に誕生したのだから、万物を生かし、あらゆる存在を活用する力を、はじめから備えているに違いないと考えた。人間は、生成発展する宇宙の、その進化の先頭に立っているのだと。

ところが我々は、そうした天命(宇宙=天から受けた使命)に気付いていない。それどころか、人間をつまらない存在だとか、罪深くて救われ難い存在だとか考えて、自ら卑下している有り様である。

このままではいけないが、ではどうすれがいいのか。松下塾長は、次のように唱えた。

素直な心になって、人間の本質を正しく知ろう!個々の利害得失を超えることで、衆知を集めよう!物質的にも精神的にも豊かに繁栄する、より良き国家と世界を興していこう! 

すなわち人間は、まことに崇高にして偉大な存在なのだから、このまま終わってしまうような存在では決してないのである。

ここまでが「新しい人間観」の概略であり、これを生かしていくための考え方と処し方が「新しい人間道」となる。

「人間道」において第一に大切なことは、あらゆるものをありのまま、あるがままに「容認」するところにある。短所や問題点を含めて、そのまま認め、素直に受け入れるのだ。

但し、欠点や課題を、そのままでよしとするのではない。それがなぜ生ずるのか、どうすれば改められるのかを練っていく必要がある。

その際、それぞれの個性や特性、その物の特質をよく知らなければならない。どんな存在にも天が与えてくれた使命や特質があるのだから、それが生かされるよう「処遇」していくのが「人間道」における第二の要点となる。

これら「容認」と「処遇」、さらに「礼」を加えて、人間道の三本柱となる。礼があってこそ、人は集団生活を円滑に進め、衆知を集めることが可能となるのだ。

まず、あれこれ悩んでばかりいないで、そのままを容認して受け入れる。次に、人や物が本来持っている長所や可能性を見出し、それが生かされるよう処遇していく。その上で、礼を整えて感謝の心を表し合う。そうすれば、衆知がどんどん集まって、人間道が広まっていくことになる。

以上は、『人間を考える 第一巻』新しい人間観の提唱 新しい人間道を求めて松下幸之助著・PHP研究所 をもとに、林なりにポイントを抜き出し加筆したものです。

松下政経塾の「塾是」に「真に国家と国民を愛し 新しい人間観に基づく政治・経営の理念を探究し 人類の繁栄幸福と 世界の平和に貢献しよう」とある通り、「新しい人間観」とそれを生かすための「新しい人間道」は塾生必修の「松下哲学」です。

林の講義を受けてくださる皆さんは、まぎれもない松下幸之助塾長の孫弟子です。孫弟子として、さらに研鑽を積んでいただくために、まず私からこの人間観・人間道を学び直し、その上で尚一層、綜學の講義に努めることを、ここに表明いたします。