ウイルス禍を乗り越える意味とは?ウイルス禍の今だからこそ考えを深めたい!

こんにちは。ウイルス禍対策で、東京の若者たちが故郷へ疎開を始めたようです。電車やバスに乗ることにさえ恐怖を感じる中、ロックダウンで身動きが取れなくなる前に帰省しようという動きだそうです。

◆個人的な対応ですが、空手道の道場稽古参加を休止しました。全国を回る講師という仕事柄、ウイルスを道場に運んでしまう可能性が高いことと、年齢から考えて稽古生の中で一番発症のリスクが高いことの二つが理由です。当分の間、自宅稽古に努めるしかありません。

これは余所の道場から聞いた話ですが、組手やスパーリングといった、密着する可能性のある練習は避け、気合の声も出さないことで「マイクロ飛沫」を少なくするなど、可能な限り感染予防の工夫をしているとのことです。大変な時代です。

◆なお、今のところ四国の講義(3月30日)が取り止めとなった以外に、講義や講座の中止はありません。林塾の講座については、3月に続いて4月もWEB講義となりました。そのため、自宅事務所にいる時間が増えました。お陰様で、執筆や校正作業、新規の講義準備などに集中して取り組めています。

●評論・随筆●

◆ウイルス禍を乗り越える意味とは?◆

これまで当たり前と思われてきた価値や秩序が、あっけなく壊れていく。いま我々は、武漢発新型コロナウイルスの世界的蔓延によって、それを目の当たりにしている。

この目の前に起きている危機の意味とは何か。それを、きちんと説明出来る指導者が、今こそ必要である。

そもそも人の心は、快感が無く意味も分からない事を続けられないように出来ている。人間は、続けることが苦手な飽きやすい生き物と言っていい。

何のため・誰のためという意味を常に明確にし、折れることの無い忍耐力を養い続けなければならない理由がそこにある。混乱の時代ほど、意味そのものを説明する能力が、指導者に求められるのだ。

では、この世界的混乱発生の大局的な意味とは何なのか、何が行き詰まって起きている現象なのか。

現在、ウイルス被害を抑えるために、世界中が国境封鎖といった“鎖国政策”を採っている。誰もが疑いを持たなかったボーダレス化やグローバリゼーションという方向から180度の転換が起こったのである。

これを、ウイルス禍が収束するまでの緊急的措置と捉えるべきか、あるいは私益膨張資本主義の限界が露呈した現象と受け止め、これを契機に次の経済原理を起こすことに照準を定めていくべきなのか。そういう根本的意味から説明出来る指導者が出てきて欲しい。

私は、今回のウイルス禍は、旧文明が生んだ覇道大国主義と私益膨張資本主義の、その破綻として起こるべくして起こった現象だと考えている。

儲かるところにだけお金が集まり、無限の成長を決して止めてはならないというのが私益膨張資本主義の掟(おきて)であり、リーマンショック以降、それを支えてきたのがチャイナであった。

その流れに乗って、チャイナは西洋列強の帝国主義に倣い、覇道大国主義を推し進めてきた。共産党一党独裁による強権政治によって、一帯一路構想などを掲げたのである。

このチャイナの覇権的膨張は、旧文明が最後に育てた徒花(あだばな)と言える。旧文明は限界に達し、とうとうチャイナ発のウイルス禍となって世界を覆ってしまったのではあるまいか。

しかし、チャイナはしたたかだ。既にアメリカとチャイナは、ウイルス禍が沈静化した後を想定しての勢力争いをはじめている。チャイナは、自国から発生したこの世界的問題をも、その覇権的膨張の宣伝活動に使おうとしているのだ(チャイナの的確な対応で、世界の被害が少なくすんでいるといった強弁)。オリンピックも大変重要だが、世界はもっと兵法的な覇権争いの中で動いているということを忘れてはならない。

今回のウイルス禍ばかりでなく、今後いろいろな形で文明転換期特有の危機が襲ってくることだろう。従って我が国としては、公益内需型の産業を徹底的に振興し、食糧・資源・エネルギーを含め、可能な限り自国内で完結する経済システムを目指すべきだ。いざとなったら、自国で何とか賄えますよという用意であり、今後それが一番の強みとなる。

そうして、その方向に国民の幸せが待っているということを、しっかり示していく政治が欲しい。苦労を乗り越えることの意味が明らかになったとき、日本人くらい根性を発揮する国民はいないのだから。

◆ウイルス禍の今だからこそ考えを深めたい!◆

新型コロナウイルス収束の次に来るものは何か。それは、酷ければ国家体制の“崩壊”だ。

東西文明の交代期には、膨張帝国が出現し、民族大移動が発生する。今回の文明交代期は21世紀の今であり、その最激変期は2025年~2050年頃となる。

この30年近く前に提唱された予測(村山節先生)の通り、経済発展したチャイナは膨張帝国と化した。そして、チャイニーズは世界中に大移動を起こし、その拡散を通して、武漢発新型コロナウイルスが地球全体で猛威を振るうこととなった。

民族大移動は、温暖化で豊作が続いた後、一気に冷害が生じたときに起き易い。豊かになって人口が増えたところへ不作が襲うときが危ないのであり、寒さと飢えで野蛮化した民族群が、旧文明の諸都市へ向かって怒濤のように大移動を起こすのだ。

同じことが21世紀の今も起きてしまった。チャイナの経済成長によって私益膨張資本主義が拡大を続けたところへ、ウイルス禍による“冷害”が、一気に世界経済に襲い掛かったのだ。

やがてウイルス禍によって、食えなくなって不満を抱いた人々が各国で暴動を起こせば、世界中が動乱状態となる。体力の無い国家から統治不能に陥り、連鎖崩壊を起こすだろう。それはあくまで最悪の事態の予測ではあるが…。

民族大移動は、既に中東・北アフリカから欧州へ向けての移動が発生しており、それとこれまでのチャイニーズの大移動を合わせて、民族大移動の第一波と見なすことが出来よう。問題は、さらに発生する民族大移動の第二波だ。その規模は、まだ予想すら出来ない。

◇チャイナの政治体制は、ガラスのような脆さを含んでいる◇

ではチャイナ自体はどうなるか。ウイルス禍は一旦収まったというが、どこまで正しい情報が発信されているのか不明とも聞く。共産党一党独裁体制による意志決定の速さが、これまで巧く機能することで急成長を成し遂げてきたものの、都合の悪い情報は地方から中央へ上がり辛い。地方役人は失敗を恐れ、隠蔽体質が染みついているのだ。

そして、人民は心から政権に従っておらず、それぞれ我が身に責任が降りかからないよう自分を守ることに汲々としている。為政者らは民主的な選挙で選ばれているわけではないから、そもそも「民意の後ろ盾」というものを得ていない。それらのことから、チャイナの政治体制は一見強固であるが、実はガラスのような脆さを含んでいると言えよう。

それでも体制が維持されているのは、改革解放以来、市場経済へ移行し、人民は豊かに食っていけるようになったからである。ところが、ウイルス禍によって、大幅な賃金低下や大量の失業発生となれば、いよいよ人民の不満が高じて、政府への批判が広がっていくことが予想される。

これから先、チャイナに新しい社会秩序が誕生するのだろうか。新しい社会秩序が誕生するとすれば、儒教精神に基づいた王道政治の復活が必要であり、道家(老子など)の世界観も甦らねばならない。そうした原点回帰によって、清新にして幽韻な東洋精神が創造されてこそ、新中国の誕生となるのだが…。

チャイナの現体制は、その新しい社会秩序へ移行するまでの過渡期の政権と見なされる。従って我が国は、チャイナに飲み込まれること無く、間違っても戦争となることの無いよう、一定の間合いを保っていかねばならない。目の前の利益を考えればチャイナ市場は重要であろうが、その不安定要素を考慮し、経済活動はどこまでも慎重に進めるべきだろう。

◇余裕のある地方や田舎のほうが暮らし易くなるのかも知れない◇

そこで、今後の心得として、下記を挙げておく。
(1)欲望をエゴではなく利他に働かせる~私益膨張資本主義から公益資本主義へ
(2)価格の安さだけに目を奪われない~少々高くても国産・地元産を優先する
(3)便利さだけを求めない~常に全体にとって正しいかどうかを考える

このウイルス禍の最中にも関わらず、田舎によっては「どこ吹く風」で悠々としている。中長期的に見れば、咳すらし辛い息苦しい大都会よりも、ゆったりと余裕のある地方や田舎のほうが暮らし易くなるのではあるまいか。

「コンパクト」や「小規模」もキーワードになる気がする。トヨタとNTTが資本提携して進めるという「スマートシティ」は、AIなども生かした人間生活進化型都市のモデルとして注目したい。大都市から進化型コンパクトシティへの移行が始まると思う。

◇小規模の勉強会や講座は、禁止されない限り開きたい◇

なお、こういうときほど学ぶことが大切だ。「混乱状態の今は、座学しているときではない。とにかく動こう!」という考え方は、一面正しいが間違いでもある。

歴史を見れば、戦国武将も幕末志士たちもよく学んでいた。乱世ほど、常識に囚われない知恵と創造的工夫が必要であり、それは生きた学問によって養われる。激動の時代くらい、学んだ事が生かされ、よく身に付くときは無いのである。

小規模の勉強会や講座は、禁止されない限り開きたい。大規模イベントは自粛が求められているが、30名~50名程度の講座は、困難を乗り越えるための知恵を養う場として、使命感を持って開催するべきではないか。

その際、広めの会場を使って余裕のある席の配置を心掛けよう(人数は10名程度であっても、会場が6畳間というのでは密集状態になる)。あるいは、WEB講義の実施など、ロックダウンに対応出来る仕組みを整えることも重要になってきた。(日本政経連合総研レポート第35号より)