TPPという黒船、加盟するなら日本改新に生かせ!

こんにちは。
今日は立冬。昨日よりも肌寒く感じます。
夜は浜松の東林志塾で、「橋本左内」を講義します。

◆今、論争となっているTPPについて、拙論を下記に述べました。与野党の慎重派が、団結して反対決議。民主党は明日、党内の意見を集約予定。そして、政府は明後日10日に、TPP交渉参加を決めたいとのことです。

◆日本経営合理化協会から明日9日、吉田松陰《立志実践の教育》CDが出版されます。林英臣が説く、「松下村塾~転換期の人財の育て方と、その劇的な生涯」です。心を込めて話しました。

普段、綜観の講座に出られない皆様や、自宅や車中でじっくり学びたいという方々に、是非ともお聴き頂きたく存じます。
詳細はこちらへ→   http://www.jmca.jp/prod/1908.html

◆今週は西日本を回ります。10日(木)林塾「政治家天命講座」関西、
11日(金)昼 岡山大和言葉セミナー、11日(金)夜 四国中央立志会・
社員セミナー、12日(土)午前 四国中央立志会・社長セミナー、
13日(日)林塾・国是部会会議と続きます。

ご参加頂ける講座につきましては下記をご覧下さい。
http://www.hayashi-hideomi.com……r/699.html

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
◆◆◆TPPという黒船、加盟するなら日本改新に生かせ!◆◆◆

今論争になっているTPPは、「環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)のこと。

これに加わると、加盟国の間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃することになる。政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての非関税障壁も撤廃し自由化する。

2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国が域外への経済的影響力を向上させることを戦略的な目的として発効・運用。現在、加盟国4か国と加盟交渉国5か国が、拡大交渉を行っている。」
(以上「 」内、ウィキペディアより抜粋し要約)

TPPに賛成か反対か。これについて拙論を下記に述べる。結論は、加盟するしかないのなら、「災いを転じて福となせるよう覚悟を持って臨もう」である。

TPP賛成派は開国論者、反対派は攘夷論者…

TPP(環太平洋経済連携協定)への参加に賛成か、反対か。今国論は、真っ二つに割れている。賛成派はTPP参加こそ日本経済が生き残る道だと説き、反対派は農業をはじめとする日本の基盤が壊されるからダメだと主張している。

これを幕末になぞらえ、賛成派は開国論者、反対派は攘夷論者(鎖国論者)などという評論も出ている。野田首相は開国、つまり参加を決めたようだ。そうなれば、途中から不参加に変更することは難しい。アメリカに強く迫られ、もはや参加するしか方法がないならば、残された道は、これを精一杯日本改新に役立てることにあるだろう。

黒船来航後、国論は開国か攘夷かで揺れた。議論が出た割には、どちらも上辺(うわべ)の意見が殆どであった。取り敢えず開国しないと、アメリカに攻められてしまうという場当たり派か、鎖国は我が国の国法だから、これを解くわけにはいかないという守旧派のどちらかだったのだ。

日本を生まれ変わらせるためにTPPという黒船を生かす

その中で、全体観を持った一部の志士たちが、「攘夷のための開国」という主張を唱えるようになった。鎖国のままでいたら進歩はない。開国して西洋の進んだ技術を導入し、日本を強くする。そうして侵略されない国家をつくるというのが、橋本左内や坂本龍馬、勝海舟、高杉晋作らの見識であった。

これに置き換えるならば、日本を生まれ変わらせるためにTPPという黒船を生かせということになる。日本には、変えるべき旧体制がいろいろあり、農業分野にも多い。TPPで農業は壊滅するというが、新規参入が困難で、後継者が不足している現状からすれば、どのみち衰滅を待つしかない。

ならば、この外圧を使って行き詰まりに風穴を開け、国際競争力を高められるよう、起死回生を計ることが出来ないものか。例えば一般に言われているように、農地制度や農協が農業改革の大きな障害となっているならば、TPPを農業新生のチャンスにしたらいい。

TPPは、アメリカが仕掛けてきた対日輸出戦略

TPPは環太平洋経済連携協定といいながら、中国や韓国には加盟の意志がなく、事実上日米協定に他ならない。GDPの割合では、日米で加盟・加盟予定国全体の9割を超えてしまうほどだ。

アメリカは、まだリーマンショックの痛手から抜け切れていない。不景気が続き、失業率が高く、購買力が下がっている。冷静に見て、TPPによって対米輸出が増えるという期待は持たない方が賢明だ。

要するにTPPは、日本市場から利益を啜るために、アメリカが仕掛けてきた対日輸出戦略であると見たらいい。それは謀略でも何でもなく、アメリカが普通に仕掛けてくる政策に過ぎない。

では、日本にとってメリットが全然ないかというとそうでもない。社会秩序の衰退期を歩むアメリカだが、まだしばらくは中国を抑える力を持っている。TPPが日米同盟とセットであるならば、対中防衛上の価値が出てくるだろう。

関税自主権を手放して大丈夫なのだろうか

マスコミの多くが、一斉にTPP賛成を言い出したという点も気になる。はじめから参加が当然であるという論調が多かった。

新聞などで当然取り上げて欲しかった話題に、関税というものの考察がある。主権国家が自国経済を守るため、そのハンドルとして握っていなければならないのが関税のはず。

かつて明治政府は、関税自主権の回復に大変な労力を費やした。これを、いとも簡単に手放して大丈夫なのだろうか。そもそも関税とは何ぞや、という原点認識が必要なのだ。

TPPによって、一時は製造業にメリットがあるだろう。が、じわじわとデメリットが目立ってくると予想する。アメリカが、用意周到に日本支配を強めてくることは必定。そういう覚悟で、“黒船襲来”に備えねばならない。手放しでアメリカを同盟国と見るのは、(これまでの歴史から判断して)脳天気も甚だしいのだ。

先進国が世界をリードする時代は終わった

いざTPP参加決定となったら、協定の24分野全てに渡って、厳しく条件闘争に努めねばならない。それぞれの「最悪の事態」を想定し、それへの備えと、今後どのように日本を改新していきたいのかを、分野ごとに国民に示すのが政府の役割だ。

本当は、それからTPP参加を表明しても遅くはなかったと思う。韓国では、アメリカと結んだFTA(韓米自由貿易協定)が、不平等条約だということで反対運動が起きている。TPPであれFTAであれ、早く結びたがっているのは、アメリカのほうではあるまいか。

今月(2011年11月)フランスのカンヌで開催された首脳会議(G20)で、はっきり示されたことがある。それは「先進国が世界をリードする時代は終わった」ということだ。

世界経済を牽引するということよりも、欧州の財政・金融危機への対応で首脳会議が終わってしまった。ともかく、EUが危機にあり、アメリカが苦悩する中で、大局観を持ってTPPに取り組まねばならない。これから日本の試練が続く。