年間500軒!豆腐屋さんは、なぜ廃業に追い込まれたか

◇「代わりの豆腐屋はいくらでもいるんだ」◇

豆腐屋さんが、毎年500軒のペースで廃業しているそうです。ここ10年を見ると、2003年度の1万4016軒から、2012年度の9059軒に減少しました(厚生労働省集計・平成25年11月2日付読売新聞)。

豆腐店廃業の理由は何か。豆腐の作り手がいない(見つからない)わけではありません。健康志向から、豆腐製造に関わりたいという人が増えています。国民が豆腐嫌いになったわけでもありません。

最大の理由は、原料となる輸入大豆の高騰と、納入先スーパーからの値下げ要求です。大豆価格は、異常気象による不作や、世界的な需要の高まりによって上がります。それを価格に転嫁出来ればいいのですが、納入先のスーパーは値上げに応じません。

それどころか、益々値下げを求めてきます。バーゲンセールの目玉商品として、大赤字の納入を余儀なくされたり、スーパーの改装のときなどに協賛金を要求されたりと、どこまでも搾り取られていきます。注文によって納めたはずなのに、売れ残りは豆腐屋が負担というケースもあるそうです。

こういう中で、もしも値上げ要求をしようものなら「代わりの豆腐屋はいくらでもいるんだ」と凄まれて終わりです。要するに、適正価格で売れないのです。作れば作るほど赤字が嵩(かさ)むという状況の中では、最早(もはや)破産以外に道はありません。

◇「楽な道」を選んだことが、廃業へ向かう根本原因だった◇

真面目に働いてこられた豆腐屋さんには本当に気の毒なことですが、スーパーに一括納入するという「楽な道」を選んだことが、廃業へ向かう根本原因だったのではないでしょうか。販路を開拓するという努力を放棄し、販売をスーパーに頼るという「楽な道」に進んだことで墓穴を掘ってしまったのです。

リスク分散は、何事にも重要な心得です。3分の1はスーパー、3分の1は料理屋など大口の上得意客、そしてもう3分の1が小売りの顧客というように分散させていれば、たとえスーパーからの注文が無くなっても、何とか打つ手は残されていることでしょう。

ところが、売上の大半がスーパー頼みということでは、生命線を完全に放棄した状態での商売となります。命綱を一社に握られるということくらい、危険な経営はないのです。

◇利益の出る「適正な価格で売る」ということ以外に生き筋はない◇

では、どうするか。結論は一つです。利益の出る「適正な価格で売る」ということです。今からやって間に合うかどうかは兎も角、それ以外に生き筋はありません。

そのために必要となるのが付加価値です。付加価値とは、他の店には無い美味しさ、品質、高級感などのことです。

原料の大豆を国産の、それも名産品にこだわり、「にがり」をとことん研究する。あるいは、水を地下深く汲み上げた天然水しか使わない。そういう本物志向で造り続けてきたところには、ちゃんとファンが付いているものです。「おたくの豆腐を使わないと料理にならない」と言ってくれる上得意です。そういう豆腐屋さんなら、苦しい中にあっても一定の利益を確保していけるはずです。

また、消費者の我々としては「少々高くても、いいものを買う」という姿勢が大事になると思います。お互い、適正価格で売り買いするようにしていけば、もっと幸福な世の中になるはずです。それが公益経済や公益経営であることは言うまでもないことです。