「提言」新憲法の制定は、いつ頃になるか(後編)

◇新憲法を創案する際に必要となる、普遍性と固有性◇

国家の理念と骨格を示すのが憲法であるが、そこには普遍性と固有性が盛り込まれることになる。普遍性は人類共通の理想や目標であり、固有性は国家と国民が持つ個性や特性のことだ。この両者が盛り込まれることで、格調の高い自主憲法となるのである。

筆者は、新憲法を創案する際の、普遍性と固有性を考える視点(キーワード)として、次の5点を提示する。

第一に「日本の原点」。これ無くしては憲法とは呼べず、日本の原点は、天照大御神と神武天皇の精神に遡ることになる。大御神が子孫に授けた「三種の神器」には、原点となる精神が表わされている。鏡は誠信(うそ偽りのないマコト)、曲玉は愛情、剣は正義を表しており、この3つこそ、日本人が尊んできた基本的徳目である。

また、神武天皇が橿原宮建立に際して出された御詔勅にある「六合開都八紘為宇」も重要で、これは日本政治の原点となっている。六合は天地四方、開都は都を開くこと、八紘は八方、為宇は家と為すという意味で、世界の平和と人類の幸福を導くのが日本と日本人の使命であることを明示している。

第二は「国民の幸福」。国民が幸せになれないようでは、そもそも憲法をつくる意味がない。人を大和言葉で人(ヒト、日止)といい、エネルギー(ヒ)の固まり(ト)が人である。

そして、人は家(イエ、命の広がりのこと)によって誕生・成長し、生活する。個人ばかりを強調していては、これからは人類を守ることが出来ない。生命存続の基本となる、イエの尊厳を見直そう。さらに、地域の文化や伝統を継承してきた村(ムラ、群れて活動する場)の価値も忘れてはならない。

第三に「国家の繁栄」。国家は大和言葉で国(クニ、結合して一体となった共同体)といい、民族や国民にとって、心身帰属の基盤(母国)となるものだ。クニを維持するには、国民が公(オホヤケ)の心を持たねばならない。オホヤケは大宅(オホヤケ、大きなヤカタ)のことで、大きな建物に集まって話し合い、衆知を集めるのは日本政治の伝統である。

第四に「世界の平和」。世界を天の下(アメノシタ)という。アメは天空で、その下に全世界が位置している。「六合開都 八紘為宇」の通り、世界平和を担うのは日本の天命なり。

第五に「宇宙の進化」。宇宙は天(アマ、時空の広がり)だ。『古事記』冒頭には、大宇宙の生成発展が壮大に記されている。壮大な宇宙論は、日本人の精神のDNAに刻まれた重要な世界観である。

以上5点を一言で言えば、日本と日本人の使命を憲法に盛り込んで欲しいということだ。

◇基本精神となる国是三綱領◇

最後に、国是三綱領について要点を箇条書きで述べておく。これが、新日本SS誕生前か、誕生時に示したい基本精神になると思われる。

一、「共生文明の創造」
西洋中心の文明から、東西文明の共生へ。
国家による覇権争いから、国家(民族共同体)同士の共生へ。
人間中心主義から、人と自然・人と生物の共生へ。
物質中心主義から、物と心の共生へ。

二、「高徳国家の建設」
明治以来、日本に入ってきた西洋の価値観が低徳国家を導いてしまったが、それらを日本精神で解釈し直して、本来の意味を生かしたい。
勝手主義の自由となってしまった「自由」から、「自主」や「自立」へ。
悪平等となってしまった「平等」から、「公平」や「公正」へ。
欲望民主主義となってしまった「民主」から、「衆知」や「民本」へ。
争いを助長してしまう観念的な「権利」思想から、根拠のある「権限」や、積極的な「使命」へ。

三、「公益経済の確立」
私欲・私益中心の物欲膨張資本主義から、公欲・公益の進化型資本(志本)主義
経済への転換が必要となった。その要諦は以下の3点にある。
1、天本主義経済…天地自然の働きを生かした循環型経済。
2、地本主義経済…地産・地流・地消の「地域経済生態系」。
3、人本主義経済…人が幸せになる互恵繁栄経済。
公益経済における成長は、物も心も豊かになる「物心両面の成長」であり、焦らずじっくり成長させていく「年輪成長」であり、良いときに高ぶらず悪いときに落ち込まない「循環成長」であることが求められる。