「提言」安保法案に思う~2050年まで日本を“温存”したい

◇衰亡するアメリカと膨張する中国の間に立たされる日本◇

日本は今、「衰亡するアメリカ」と「膨張する中国」の間に立たされている。
アメリカが後ろ盾として当てに出来なくなりつつある一方、中国はアジア太平洋へ勢力を伸ばしてきた。

防衛を論ずるときは、まず「アメリカと中国の情勢分析」について示して頂きたい。考え方の基盤が開示されてこそ、議論が噛み合ってくるものと思う。

文明法則史学ではどうかというと、アメリカは社会秩序(SS)の衰退期にあり、2030年頃になると、軍事・経済共に覇権大国の地位から転落するものと予想している。アメリカの焦りが、日本に安保法案の成立を急がせているということは否めまい。

中国は社会秩序(SS)の過渡期(清SS終了以後の長い谷間)にあり、新しい王道大国が誕生するには「漢民族の原点回帰」を待つ必要があると見ている。

かつて中国は、文化大革命(文革)で伝統精神や基底文化を徹底的に破壊し、その担い手を暴力的に迫害した。文革の死者は少なくとも40万人、多い説では1000万人にも及ぶと言われている。中国が原点に回帰すれば、指導者に大義の精神が芽生え、君子としての器量を誇り、腐敗を恥と思う心が養われるはずだが、中国が本来の中国に帰るのは、まだ先の話だろう。

しかし、勢いは中国にある。アメリカが覇権大国の地位を、中国に譲る日が来る可能性は高い。たとえ中国が内部分裂するとしても、ベースが大きい分、分裂した一つ一つが軍閥的な大勢力となっているに違いない。

◇日本が外で戦う意味は全然ない◇

結論から言えば、中国と決して戦争をしてはならない。外交不能の泥沼に入り込むだけだからだ。韓国から救援依頼があっても、軍隊を送って戦う必要はない。背後の中国やロシア、北朝鮮との摩擦が高まるだけだからだ。勝海舟も語っていたように、大陸や半島には介入せず、お節介も焼かず、自助努力に任せて蘇生を待つというのが得策だろう。

中国は、日本の背後にいるアメリカを見ながら、少しずつコマを進めてきた。アメリカがアジアから消えるタイミングを見計らっていると言っていい。

一番望ましいのは、防衛力の自立的な整備によって、日本を攻めるリスクが高いことを中国に覚らせることだ。最悪は、アメリカの代わりに中国と戦うハメになることだろう。そうなれば、長期戦となる可能性が高い。

これから世界は、文明交代期の暴風雨に襲われる。2020年~2050年頃が最も危ない時期と予測され、国際情勢の不安定化、中東での大規模紛争、大量の移民・難民の発生、膨張資本主義経済の終焉、環境破壊・異常気象と食糧問題、資源エネルギーの不足などが連鎖的に起こるだろう。

そういう情勢の中で、日本が外で戦う意味は全然ない。ハリネズミのように身を守りつつ、2050年を超えていくのが無難だ。防衛上の不備を補うための安保関連法案は通すべきだが、他国軍の後方支援をしていたら、いつの間にか戦争状態に巻き込まれてしまうという法制は避けねばならぬ。

2050年を超えれば、世界中が日本と日本人を必要とするようになる。そのときまで、日本を大事に“温存”しておきたい。