~防衛と平和についての提言~ 「中国は、アメリカがいなくなる日を待っている」

東京上空の制空権は、戦後70年経った今も、アメリカが制圧し続けている。旅客機は迂回しなければならず、もしも上空を飛行したければ、毎回アメリカ軍の許可を得なければならないという。素直に考えて、これでは独立国と言えまい。靖国神社にお祀りされている英霊は、このことを何と感じていらっしゃるだろうか。

◇重要な意見は、長期・中期・短期で考えてみる◇

物事を議論する場合、短期・中期・長期のどれを話しているのかを明確にする必要がある。短期の対応を論じているのか、中期の対策を練っているのか、あるいは長期を展望しているのか。そこが分かっていないと、話が全然噛み合わなくなる。

たとえば、緊迫する尖閣諸島の防衛を論じているときに、いずれ国境が無くなるのだから守る必要は無いなどと主張するのは、短期と長期が混在している妄言と言っていい。

防衛と平和の長期・中期・短期の方策について、筆者は個人の見解として次のように考えている。

短期的には、アメリカの後押しで中国を牽制する。但し、アメリカの威力が有効なのは、2030年頃まで(早ければ2020年、遅くとも2040年くらいまで)と予想する。

中期的には、防衛力の一層の整備によって、侵されることのない自立した国をつくる。大国というものは、手強い敵とは戦わないで相手の衰亡を待ち、手を出すのは常に弱い相手に対してである。

長期的には、東アジアの連携によって世界共生文明を興す。世界の平和と人類の幸福を推進するのは、アジア共通の役割である。

この他、世界各国との外交、技術支援、経済協力や文化交流などによる互恵関係の構築については、長期・中期・短期を通して多面的に進めていくべきだ。

それから、有事に備えた食料・資源エネルギーの調達方法も、今から整備しておかねばならない。

◇望まない戦いに参戦するようなことに至らぬよう、細心の注意が要る◇

中国は、アメリカがいなくなる日を待っている。結局、日本を守れるのは日本人しかいない。その覚悟を持たないまま、アメリカに頼れば何とかなるという甘い考えを持ち続けていたら、不十分な防衛体制のまま侵略を被り、誰も助けてくれないという悲惨な事態を招きかねない。

中国とは決して戦争してはならないし、飲み込まれて属国になってもいけない。ミサイルや潜水艦、戦闘機などの通常兵器の精度を徹底的に上げて、日本は手出ししてはいけない国、リスクの大きい国であると、はっきり認識させることが重要だ。

集団的自衛権の注意点だが、アジアから手を引くアメリカの代わりに、日本が中国と戦うことになる可能性がありはしないか。イラク戦争などを見ても、アメリカの横暴な態度には目に余るものがある。頼りにしていたはずのアメリカの都合で、望まない戦いに参戦するようなことに至らぬよう、冷静な警戒が要るだろう。

◇台湾や韓国、ベトナムやフィリピンから援軍要請があったらどうするか◇

それにしても、日本周辺の緊張感が高まってきた。中国と決して戦ってはならないものの、次の場合はどうするか。

現在、台湾~沖縄~九州のラインで中国の膨張を食い止めているのだが、親日的な台湾が軍事的危機に陥り、日本に援軍要請が来たとき、我が国はこれを無視するのか。韓国が北朝鮮に攻め込まれ、救援依頼を受けたときはどうするのか。

南シナ海の島や岩礁の領有権を争っている、ベトナムやフィリピンからの要求もあり得る。南シナ海は日本のシーレーンにあたっており、そこでの紛争は日本経済に大きな影響を与えることになる。

台湾や韓国、ベトナムやフィリピンなどと中国が戦闘状態になったとき、我が国はどう動けばいいのか。集団的自衛権では、どう判断されるのか。そういうことまで、しっかり詰めておかねばならない。

では、どうするか。台湾とは、もっと民間協力を進めて一体感を醸成し、日台の絆で中国を牽制していきたい。台湾としては現状維持が得策であるが、台湾人は中国人ではないという自立心を高めてきている。中国が無理に併合すれば、台湾国民が黙っていないはず。日台“両国”の力が次の中国建設に必要である、台湾は併合しない方がいいと中国に判断させる方向に、日本は協力すべきである。

韓国に対してだが、現状では救援依頼を受け入れるべきではないと思う。理由は、韓国に主体性が無いからだ。アメリカに付いて行く気なのか、それとも中国の属国に戻る腹なのか。その辺がよく分からない以上、冷たいようだが日本としてはお節介を焼かないのが無難だ。戦前の歴史を見ても、半島に関わっていいことはない。

南北統一についても、本気度が伝わってこない。我が国としては、朝鮮半島に紛争が生じた際の防衛策として、対馬や九州、山口の防衛を固めつつ、慎重に様子を窺うべきだ。

但し、半島有事の際の、拉致被害者救出が問題になる。救出に自衛隊が出動するのか。出動するなら、どのタイミングか。半島が緊張状態に陥ったときか、北朝鮮の体制が崩壊してからか。これも、安保法制審議の中でよく議論して頂きたい。在韓邦人の避難(帰国)については、可能な限り早い段階に行わねばならない。

ベトナムとフィリピンについても、台湾同様、もっと外交・経済・文化を通して交流を活発化させるべきだ。アジアから新文明を興すための同志となって貰えるよう、大局観のある文明外交を推進したい。

◇日本らしい「武」の整え方がある◇

今後、中国の狙いは次の通りであると推測する。まず、経済で周辺諸国を取り込む。経済の生命線を握り、中国と抜き差しならない関係に囲い込んでいくのだ。

次に、アメリカの様子を窺いながら、まず台湾を属国化し、隙(すき)を突いて尖閣諸島に上陸。さらに沖縄を占拠し、太平洋へ進出する。同時に、南シナ海の実効支配を拡大する。

そうなれば、九州は日本防衛の最前線となる。さらに攻め込まれて、西日本は中国、東日本はロシアの領地になるようなことにでもなれば最悪である。

しかし、中国の指導者としては、アメリカの世界戦略に負けないための努力に必死にならざるを得まい。中国から見れば、日本はアメリカの属国としか写らないのも当然だ。いずれ、文明の大局に立って話し合うことの出来る指導者の出現を期待する。そのときの共通言語は、文明法則史学(21世紀が東西文明の交代期であることを示したマクロの文明周期論)や、孔子や老子の思想になることだろう。

最後に核兵器について。核武装以外に日本が自立する方法は無いという見解をしばしば耳にする。だが、私は核武装に反対だ。核兵器の開発と使用は、人類全体の過ちである。核を無力化する方法を含め、日本らしい「武」の整え方があると思っている。