書評・「チャイナ2049~世界支配への野望」

『China2049』秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」

ドイツ訪問の飛行機の中で、アメリカのハドソン研究所中国戦略センター所長で、対中防衛政策を担当されてきたマイケル・ピルズベリー氏の著書『China2049』秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」日経BP社(訳・野中香方子氏)を読んだ。
私なりの要約と感想を、下記に述べてみる。

中国(チャイナ)には、21世紀後半の世界を一極支配しようという企(たくら)みがある。この野望はアヘン戦争以来の屈辱を晴らすためのもので、共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取するつもりであると。
これを「100年マラソン」という。

これまで中国は、その野望を隠してきた。勝利する日まで何十年でも忍耐し、チャンスが来るまでは覇権大国と戦わないという方針を貫いた。だが、周近平政権になってから、その野望が明らかにされることになった。
「強中国夢」(強い中国になるという夢)がそれだ。

アメリカは、中国の本心を読み違えてきた。中国はソ連に対抗するためにアメリカに近付き、アメリカは中国に弄ばれることになった。

中国(チャイナ)は弱い国だから、助けてやるべきだ。豊かになれば、地方でも国政でも民主的な選挙が実施され、平和な国家に移行する。また、中国には世界を支配しようなどという野望はない。やがてアメリカに対抗する大国に成長するということもあり得ない。アメリカは、そう信じさせられたのだ。

中国のやり方は巧みだ。もしも相手国に中国脅威論を唱えるタカ派がいれば、これを弱らせる。味方になりそうなハト派を見つけたら、これを懐柔する。

これら宣伝戦と人脈作りによって、強国アメリカは弱小国の中国に圧力をかけてはいけないということになり、アメリカはいろいろな面で中国を支援し、技術も教えることになった。

この野望に、ソ連(ロシア)は早くから気付いていた。アメリカにも情報を伝えていた。しかし、アメリカは無視した。

今後、もっと中国の指導者を知らねばならない。中国は決して一枚岩ではなく、中には一国覇権主義の間違いを理解する者もいるはず。但し中国には民主主義がなく、内部情報が分かり難いことに注意が要る。手の内を見せず、権力者の日々の活動も公表されない国である。

天安門事件(1989)以後、中国は益々非民主的な一党独裁国家となり、民主改革派を弾圧した。ソ連が崩壊(1991)して北の脅威が緩んだことは、中国の膨張を後押しした。

中国は、核兵器を超える新兵器を研究している。電子装置を動作不能にする電磁パルス兵器、電子機器を破壊する高出力マイクロ波兵器、他国の軍事衛星を機能不全にするレーザー装置やミサイル兵器など。

中国の大国化には、今後も経済の成長が必要。だが、環境破壊が進み、大気汚染が深刻化。水は不足し、食の安全も無視されている。

以上が大雑把な要約であり、ここから林の感想を述べる。
(あくまで意味の要約であり、言葉は原文通りでない。詳しくは同書を読んで頂きたい)。

確かに今、成長の「勢」を一番持っている国はチャイナだ。だが文明法則史学からすれば、現状のチャイナは、西欧とは異質で野性的な勢力として、文明交代期特有の膨張帝国になっていくと判断せざるを得ない。

今後、経済成長の限界と環境破壊の深刻化などによって、21世紀の農民反乱が発生する恐れがある。それによって内部崩壊すれば、世界を大混乱に陥れることは必至だ。

旧文明にトドメを刺し、新文明誕生の下地を作る。それが文明交代期の膨張勢力の“役割”で、かつてアレクサンドロス大王、フン族、ゲルマン民族、モンゴル軍などが、その役割を担った。今回の文明交代期である21世紀は、西欧とは異質のロシア、イスラム、チャイナに、膨張勢力の可能性があると見られる。

これからの日本は、チャイナの100年戦略に負けないだけの大局的国是を持たねばならない。新文明創造への使命を持ち、人類の繁栄幸福と世界の平和を日本人が築いていくのだ。

それには、家康の如き忍耐力が求められる。家康は若いときに人質となり、豊臣の力が衰えてくのを待ちながら、やがて天下を取った。日本は明治以来西欧文明にすっかり染まり、敗戦の憂き目にも遭った。これからは祖国を再生させ、アメリカが衰えていく中、中国に侵略されないようハリネズミとなって辛抱せねばならない。そして、文明交代期の嵐を超えたならば(2025年超え)、やがて次の文明(共生文明)を指導する場面を迎えることになるだろう。

なお、日本も核兵器を無力化する「電霊平和兵器」を開発すべきと思う。
※本書をご紹介下さった仙台の渡辺Kさん、どうも有り難うございます。