世界化=平和、日本化=戦争という二元的な見方からどう抜け出すか

「日本政経連合総研レポート」第10号

西暦2016年(平成28年)は、文明交代期の変動が、より鮮明となった年であった。イギリスのEU離脱が国民投票で決まり、ヨーロッパ各国で反EUと反移民の動きが勢いを強めてきた。アメリカでは一国主義(ユニテラリズム)に立つトランプ氏が次期大統領に決まった。過去に縛られることがなく、アメリカにとって損か徳かを価値基準に置くドライなトランプ氏は、世界の流動化加速の仕掛け人となるだろう。世界経済の保護主義化も覚悟しておくべきだ。

思えば、事実上アメリカ占領下に置かれ続けた戦後70数年は、日本にとって大変平和な時代であった。「東側」の盟主であったソ連の南下は、「西側」の超大国アメリカが防いでくれた。しばらく前までの中国は、大陸から外に出て行く力を持っていなかった。

もう戦争は無い。中東やベトナムで戦争が起こっていても、それは外国の話であり、日本は二度と戦争に関わらない。そう信じて、国際主義やコスモポリタリズム(世界主義)の道を進んでいこう。偏狭なナショナリズムやミリタリズム(軍国主義)にさえ陥らなければ大丈夫。かなりの日本人が、そのように思ってきたのではあるまいか。

ところが、東シナ海や南シナ海に中国が進出してきた現在、戦争は遠い昔の出来事、遠い国に発生する事件であると、脳天気に構えているわけにはいかなくなってきた。実は戦争の危機があるのが当たり前であって、今までが平和すぎたと言うべきかも知れない。

さて、物事を考えるとき、二元的思考ばかりでなく、四元(しげん)的思考を取り入れるようにしたい。四つに分けることによって、今まで混乱していた考えが、よく整理されることになる。

平和か戦争か。この二つで善悪を論ずるのが二元的思考だ。世界か日本か、このどちらか一方を選ぼうとするのも二元的思考なり。そして、平和を求めるなら世界化するべきであり、戦争は日本にこだわる者が起こしてしまうものといった考えとなって、世界化=平和、日本化=戦争という二元的な見方が、随分まかり通ってきたように思う。

しかし実際には、世界化して日本を忘れることで備えを怠り、隙が生じて戦争(侵略)を招くことがあるし、日本化して祖国に誇りを持ち、日本の和の心を尊ぶことで戦争(侵略)を防ぐということもある。整理すれば、次の四通り(四元)となる。

1 日本化して平和
2 世界化して平和
3 日本化して戦争
4 世界化して戦争

そこで、どう考えたらいいのか。1を基本とし、2の世界を思う心を養い、3に至らないよう注意し、4に陥らないよう愛国心を養う。また防衛力を着実に整備する。そうすれば健全な国民精神が醸成され、文明交代期を乗り越えるために結束出来ると思うのである。