日本政経倶楽部連合 併設・日本政経連合総研レポート第21号

◆指導者にインテリジェンスを生かせる器量と能力があるかどうか…

3月21日の政経倶楽部名古屋支部7周年記念例会で、江崎道朗先生のご講義を拝聴。先生は、安全保障とインテリジェンスがご専門の評論家。とてもインパクトのある内容であり、その中に改めて確認出来たことや、新たに知ったこと、今後に生かすべき視点など、有益な内容が多々あった。以下に、その「林メモと考察」を記して総研レポートとする。

◆戦前の日本は自滅~我が国はコミンテルンの謀略に対抗出来なかった

戦前のアメリカ世論は、日本との戦争を望んでいなかった。共和党のフーバー大統領らも開戦に反対。ところが、ソ連の指導者スターリンに取り込まれたルーズベルトは、日本との開戦に舵を切ることになる。コミンテルン(ソ連を中心とする共産主義の国際的指導機関、国際共産主義インターナショナル)がアメリカに潜入しており、ホワイトハウスはコミンテルンに乗っ取られていたのである。

この事実は、これまでも近代史の研究者らの指摘にあったが、江崎先生は「戦前の日本は自滅した」と斬り込まれる。日本にとって本当の敵はルーズベルトを動かしていたコミンテルンであり、我が国はその謀略に対抗出来ず、まんまとはめられて自滅したという事実を深く反省しなければならないのである。

◆問題は情報を生かせるかどうか~政治がダメだと謀略に引っ掛かりやすくなる

しかし、戦前の日本のインテリジェンス(情報と理解力)は決して無能ではなく、むしろ優秀であった。アメリカのバックにソ連がいるという情報を、戦前の外務省や内務省が詳細に掴んでいたという事実を江崎先生は紹介された(昭和16年2月発行「米国共産党調書」全286頁など)。

問題は、せっかく集めた情報を政治家が生かせるかどうかだ。江崎先生は「政治が混乱すると謀略に引っ掛かり易くなる」と嘆かれた。

◆相手は一枚岩ではない~視野を狭くせず、よく観て味方を増やせ!

ではインテリジェンスにおいて、指導者は何に気を付けるべきか。江崎先生のお話の中に「視野を狭くしないこと」「情緒的にならないこと」「事実(ファクト)をもとにすること」という注意点があった。

視野を狭くしないための心得として、「相手国は一枚岩ではない」という認識を持てと言われた。つい我々は、「アメリカは、こう考えている」「チャイナは、こう思っている」などと、一国の意志を一つに括りたがる。ところが、どの国にも様々な議論があって当たり前。多様である以上、日本から仕掛けるべきロビー活動や工作活動の足掛かりは必ずある。常に日本の味方を増やし、国益を守るよう務めるのが外交の使命なのだ。

また、「親日的だが弱い日本を求めている派」と「反日的だが強い日本を求めている派」が、アメリカ内にあるという江崎先生の現実観も、ナルホドと膝を打った! 前者は理解者のようでいて実は頼りにならず、後者は敵のようでいて実は味方に付けるべき相手である。

◆歴史の見直しが進んでいる~日本は国益を守るために真珠湾を攻めた!

アメリカでは歴史の見直しが進んでおり、「日本は国益を守るために真珠湾を攻めた」という、日本の立場を理解する見解が広がっているというお話も興味深かった。「アメリカによる戦後対日政策を決めたのもソ連のスパイたち」なのだそうだ。日本国民は歴史の見直しに遅れを取らないよう、近代史を今一度しっかり学び直さねばならないと思う。

またバルト三国では、「第二次世界大戦をはじめたのはドイツとソ連」という歴史認識を表に出せるようになったとのこと。独ソ不可侵条約の下、ドイツの東進とソ連の西進が密約されていたという事実が背景にある。ソ連の侵略を世界に明示出来るようになったのだ。

◆トランプ大統領がマスコミを叩く理由~フェイクニュースに敢然と立ち向かう!

それから、トランプ大統領がマスコミを叩く理由についての説明もあった。アメリカのマスコミは左翼であり、フェイクニュースだらけ。これまでの政治家はマスコミの報道姿勢に対して静観せざるを得なかった。そこに、敢然と立ち向かったのがトランプ大統領だと。

その流れから、トランプ大統領は「共産主義犠牲者の国民的記念日」(2017年11月7日)で、共産主義との戦いを宣言しているという紹介があった。

◆国家の存続にインテリジェンス(情報と理解力)は極めて重要

問題解決の基本として、林は常々「全体を観る」「核心を掴む」「流れを読む」という三カ条を述べてきた。その考察に「相手は一枚岩ではない」という視点を入れねばならないということを痛感した。アメリカもチャイナも一枚岩ではないということを前提に、キーパーソンを探り、流れを見通していかねばならないのだ。

ということは、味方陣営も一枚岩ではないということになる。本当の敵はどこにいるのか。それを的確に掴まなければ、足元を掬われて自滅することになる。

兎に角、国家の存続のために、インテリジェンスは極めて重要であるということをしっかり学ばせていただいた。指導者に、インテリジェンスを生かせる器量と能力があるかどうかだ。(以上)