No.44 ぼんやりしないで、日頃から氣力を充実させておこう

腕に覚えがあると、却ってケンカになる

『老子』第五十章の続きです。「よく生を養う者は、陸を行って猛獣に会わず、戦場に入って甲冑や武器を身に付けない」とあります。そして「一角獣は、その角を突くところが無く、虎は、その爪をかけるところが無く、武器も、その刃を入れるところが無い。それは何故か。(その者が)死地にいないからである」と。

この言葉の意味するところは、第一に、こちらに敵意や殺意が無いから猛獣や敵に出会わないということと、第二に、もし猛獣や敵に出会っても、その侵入を阻止出来るということでしょう。

ケンカの多くは、自分が発する殺気に相手が反応して起きています。武術を習い、少々腕に覚えがあると、却ってケンカが増えたりします。そうならないよう、肩を怒らせないで敵意を消していれば、挑んでくる相手はいなくなるというわけです。

相手につけ込まれる隙を作らない

しかし、こちらに敵意が無いのに、勝手に相手が攻めてくる場合があります。敵が、向こうから挑んでくるときです。それに対しては、相手につけ込まれる隙(すき)を作らないよう、普段から注意しておくことが必要になります。

心得としてどうしたらいいかというと、何よりも「ぼんやりしない」ことが肝腎です。「こいつなら簡単に叩けるぞ」と思わせないよう、日頃から氣力を充実させておくのです。体格が小さくても、冒し難い雰囲気を醸し出していれば、そんなに簡単に攻められるものではありません。

その際、氣迫は内に秘めておき、肩の力を抜いておくことが肝腎です。そうでないと、習いたての武術家のように、こちらから挑発することになってしまうからです。

また、先に述べた通り、センサー即ち五感と第六感を働かせて、先回りして危険を回避することも忘れてはなりません。予め危険を察知出来れば、先手を打つことが可能です。猛獣や敵を避けられるし、出くわしても慌てないで済むようになるでしょう。(続く)