No.51 政治と利権、政治家と利欲

青年県議の車、専用駐車場に入れて貰えず

誰もが、政治の腐敗・堕落を嘆きます。利益誘導と、それに伴う汚職。
鎬(しのぎ)を削る出世競争。政治は結局、利権の奪い合いの代名詞に過ぎないのでしょうか。

でも、政治だけが悪いということはありません。人間と社会のレベルが低いから、その程度の政治しか生み出せないということでもあります。

第95代総理大臣の野田佳彦氏は、筆者と松下政経塾で同期生(第1期)です。
野田氏は、“実弾”が飛び交う千葉県の政治に風穴を開けようとして、まず県議会議員選挙に出馬しました。実弾とは、賄賂として使われる金のことです。

当時最年少の29歳で当選し、晴れて青年県議として県庁に向かいました。
そして、議員専用の駐車場に車を停めようとしたところ、守衛の人が通してくれなかったとのこと。彼の乗った車が、あまりにもみすぼらしかったので、何かの間違いで入ってきてしまった車だろうと勘違いされてしまったのです。

実際、専用駐車場の車は、その多くが黒塗りのVIP車。悪いことをして儲けなければ乗れない車というわけではありませんが、高級車が権力の象徴であったことは確かでしょう。この政治と利権、政治家と利欲の問題を考えさせてくれる、第五十三章を見ていきます。

為政者たちばかりが贅沢でいる

《老子・第五十三章》
「我をして僅(わず)かでも明知があれば、(無為の)大道を行くときに、ただ脇道に逸れてしまうことを恐れるであろう。大道は非常に平坦なのに、人々は小道を好むようだ。

政庁がひどく綺麗だと、田は荒れ放題で、食糧倉庫は空となる。
(ところが為政者たちは)美しい彩りの服を着、鋭い剣を腰に帯び、飲食に飽き、財貨は有り余っている。

これを盗賊の驕りという。非道ではあるまいか。」

※原文のキーワード
我をして…「使我」、僅か…「介然」、明知…「知」、脇道に逸れる…「施」、
非常に…「甚」、平坦…「夷」、人々…「民」、小道…「径」、政庁…「朝」、
綺麗…「除」、荒れる…「蕪(ぶ)」、食糧倉庫…「倉」、空…「虚」、
美しい彩り…「文綵(ぶんさい)」、服を着る…「服」、鋭い剣…「利剣」、
腰に帯びる…「帯」、飽きる…「厭」、有り余る…「有余」、
盗賊の驕り…「盗夸(とうか)」
(続く)