No.67 決意を表明したら、後は実行あるのみ

分かっているからこそ、敢えて言挙げしない

老子は「(道を)知る者は言わず、言う者は(道を)知らない」と諭しました。本当に物事の核心を掴んだ者ほど、その掴んだ事を妄(みだ)りに口にしない。やたらに言いたがる者は、実はよく知らないと。

これこそ、発言と行動、言葉と体得が分離した者への忠告です。中途半端に知ったかぶりをする者が後を絶たないから、それを注意するために出された教訓なのでしょう。

天地自然の原理である道を覚った人ならば、自ずと言葉と行動が一致した生き方になるはずです。人物には「知る者は言わず」の通り、分かっているからこそ敢えて言挙げしないという重厚さが求められるのです。

それは、全然言わないということではありません。余分なことやつまらないことは口にしない、聞かれてもいないときに、わざわざ駄弁を弄(ろう)しないといった意味の教えなのです。

丸く柔らかに~真理を表すマ音の発声

天地自然の働きには、嘘偽りがありません。全ての現象には原因があり、因があるから果を生むことになります。これをマコトと言います。

マコトの「マ」は、真・的・正に・学ぶ・丸いなどのマで、真理や真実を意味しています。マ音は、言語学的に言うと両唇音であり、鼻音でもあります。両唇音というのは、上下の唇を使って出す音のことです。唇を閉じた状態で口の中に息を溜め、上下の唇を離しながら丸く息を出して発声するのがマ音です。

それと同時に、鼻から息を抜きます。鼻にも息を通すということです。これを鼻音というのですが、鼻音にはソフトなイメージをつくる働きがあります。マ行やナ行が鼻音であり、声楽ではこれらが柔らかい音になると分析しています。

この丸く柔らかに発声する仕組みによって、マは真理を表す音になっているのです。

言うが成るから誠

それから、マコトの「コ」は凝る・凍るのコで凝固の意味があり、「ト」は戸・閉じる・止まる・留まるのトで閉止や停止の意味があります。このコとトが組み合わさって、凝り止まる様子を表すことになります。

凝り止まると言っても、物質的なコトと精神的なコトがあり、前者を漢字で示すと「事」になり、後者は「言」になります。「言」は心の中に懲り止まったものであり、それが出たときに「言の葉(コトノハ)」となります。言の葉の「ハ」ですが、これは歯・刃・羽・払う・張る・晴れるなどのハで、発現・出現の意を表しています。

それら事と言が真実であることを、マコトと言うのです。マコトは真事(マコト)であり同時に真言(マコト)でもあります。また、言うことが成れば「誠(マコト)」となり、言葉が信じられれば「信(マコト)」となります。則ち、言葉が因となり、行動が果を生めばマコトが成立するというわけです。

言ったからにはやる、やるからこそ言う。決意を表明したら、後は実行あるのみ。言葉は実現のために使うものであって、くよくよ悩んだり迷ったりするためにあるのではないのです。言霊の国に生きているのだから、その実現力を腹の底から信じて邁進しましょう。(続く)