No.85 一人ひとりに個性や天性がある

いろいろなものに満たされることが進化

正しさとは何なのか。それを考察する上での対象として、大きいところから言えば宇宙を外すわけにはまいりません。宇宙進化に適っているかどうか。それが、正しさの第一の基準になるということです。大宇宙は絶えず動いており、生成発展しています。活動によって進化するほど、宇宙は多様化・連係化・一体化していまいります。

多様化、つまりいろいろなものに満たされることによって、宇宙全体の“生命力”が高まります。宇宙を構成する元素を例に取れば、その種類が少ないままだと組み合わせに乏しく、宇宙環境の進化が遅いままです。種類と組み合わせが少ないということ自体が、進化の遅れを意味しているのです。

地球環境においても、多くの生物種に満たされることによって、生物全体の生存能力が進化向上します。一種のままでは環境の変化によって一度に全てが滅んでしまいかねませんが、バラエティに富めば全体が持つ適応能力が高まります。

多様な中のどれかが生き残るとか、あるいは(新しい環境に適合可能な)新種誕生のチャンスが増えるとかによって、全体が生き続けることになるのです。反対に種類が少なすぎたり、どんどん消滅して多様性が損なわれたりしていくというようであれば、全体が自滅に向かうということになってしまいます。

多様なものが連係化すると、全体の力が強くなる

多様性が全体の力を高めるのは何故でしょうか。人間集団であれば、統率に向いている人、計算が得意な人、腕力に優れている人、手先が器用な人、思索に秀でた人など、いろんなタイプが集まっていることが多様性です。それによって仕事を分担し合えるのです。

バラバラなままでは、個々の能力が生かされないで終わってしまいます。中にはマルチタイプの人もいますが、一人の人間にやれることには限界があります。それぞれの適正を生かし合うことが大事で、そうすれば組織全体の力が高まります。則ち、多様なものが互恵的に連係化することで、全体の力が強くなるというわけです。

それが、多様化→連係化による全体の「一体化」です。「地球生命体」の生態系がそうであり、経済活動においても「地域経済生態系」と言うべきものがあります。地域で作り(地産)、流通させ(地流)、消費する(地消)という、地域で一体となった循環型経済です。昔は、どの地域でもそれが基本でした。

多様化・連係化・一体化に、宇宙進化の基本がある

この多様化・連係化・一体化に宇宙進化の基本があり、まずはそれをベースに正しさを考えてみようというわけです。それが、老子の言う天地自然の原理、則ち「道」に順応した生き方になると思います。

自分の生き方や仕事・活動が、世の中の多様性の創造に役立っているかどうか、さらに連係化や一体化に寄与しているかどうかです。一面的になっていたり、対立を煽って分断化させることになっていたりするようでは、その主張は一見正しいようであっても部分観に過ぎないということになるでしょう。

人には、一人ひとりに個性や天性があります。その個性や天性は、実に多種多様です。だからいいのであって、違うから助け合え、必要とし合えます。連係化し互恵関係をつくることが出来る基本が、まさに多様性にあるという次第です。

自分に与えられた天分こそ、天から頂いた我が持ち分です。天分を知れば、そこに託された天意が見えてきます。それを生かして、世のため人のため、天命に生きてまいりましょう。(続く)