No.89 必ず日本が世界で一番“強い国”になる

一本道を貫くのが正義

「正」という漢字は、一つに止(とど)まると書きます。大切な一を守って、そこに止まるという意味です。また、別の解釈によれば正は丁+止であり、丁はテイ(→セイ)という読み(発音)を、止は足を表すとのこと。こちらの場合は、真っ直ぐ歩くという意味になります。いずれにしても、信念を守って二心(ふたごころ)を抱いたりせず、一つの道を堂々と進む様子を示したのが正の漢字です。

正は義と組み合わさって「正義」という熟語になります。義にも、守るべき正しい道、筋を通すという意味がありますから、一本道を貫くのが正義なのです。

その一本道は、本源的中心から伸びていきます。一本道を進むとは、中心を守って生きていくことに他なりません。それが東洋人、特に日本人の正義観でした。

日本人は、中心を立てることを第一義とし、それによって全体を「大きな和」に育ててきました。歴史を見ると分かるのですが、世界に比べて、争いの大変緩やかな国が日本です。天皇を中心とする大家族国家という国柄が、常に大きな和をつくってきたからでしょう。

弥生的な農耕民族の性格と、縄文的な海洋民族の性格

そして日本人は、弥生的な農耕民族の性格と、縄文的な海洋民族の性格の二つを併せ持っています。農耕民族の勤勉さと、海洋民族の移動性です。

後者の性格が前に出ると、世界に目を開き、進出の意識が強まります。
飛鳥・白鳳・天平時代には、当時の先進文化であった仏教を積極的に導入しました。秀吉から家康時代にかけては、活発な海外進出によって東南アジア各地に日本町がつくられました。明治になって鎖国を解くと、西欧文化を怒濤の如く吸収し、多くの日本人が世界に出て行きました。

さて、少々理屈っぽいことを言います。そうした世界を目指す意識からすると、自国だけ守ることで終わる程度のものは、決して正義ではないという考え方になりはしませんでしょうか。まず日本を守るというのは当然のことですが、守られる日本は、そもそも何のために存在しているのか。日本を守った後は、一体どうなるのかと。勿論、祖国なのだから守るという単純な「情」で構わないのですが、情に「理」が加わることで揺るぎ無い思いに至るはずです。

世界が日本に救いを求めてくる

全体にとってどうなのかを考え、相手の立場を重んじる。そういう思考を強く持っているのが日本人です。自分を超えた世界を知るほど、より大きく貢献したいと素直に願うようになります。

だから、会社のためにはなるが、日本のためにはならないというのでは困ります。地域のためにはなるが、日本のためにはならないというのも同じです。
さらに、日本のためにはなるが、世界のためにはならないというのも同様であり、それらはいずれも正義ではないということになります。正しいとしても、部分の正しさで終わっています。

でも、そういう日本人の性格が、世界に出たときは問題になる。いつも相手国を思いやってしまい、外交で損をしているのではないか。そういう反論が出ますが、それはその通りです。

今はまだ、正直者や正直な国が損をする時代なのです。しかし、本来偉大な存在であるはずの人間が、このままのレベルで終わるわけがありません。「エゴからエヴァへ」、「エゴからエコへ」という合い言葉も耳にします。

人類の精神レベルや徳性が高まれば、必ずや日本の素晴らしさが分かってきます。中心に正義を置く国の素晴らしさです。

そのとき日本は、きっと世界で一番“強い国”になっていると思うのです。
それは、老子の言う柔の強さ、愚の賢さを含んでの話です。

やがて、日本人は先頭に立って世界の混迷を救うようになります。
世界中の人々が、日本に救いを求めてやって来るでしょう。(続く)