No. 91 人間の使命は、未完成の宇宙を進化させるところにある

これからの文明は、地球と人類が一体となった「綜合文明」◇

共生文明は融合文明であり、全体文明、綜合文明とも言えます。東西の融合文明として、地球全体を綜合的に生成発展させるのが共生文明です。

人類の生活と活動が、地球全体にとってどうなのか。今ほど、それを考えねばならないときはありません。天・地・水に対して、人が調和する文明を創造するのです。

綜合の「綜」ですが、この漢字には「原点から伸びていくタテイト」という意味があります。「宗」の「うかんむり」は建物、「示」は祭壇と供物のことです。神々や先祖という原点を祭っているのが「宗」であり、大切な原点を祭っていれば、そこに連続性、つまりタテイトが起こるというわけで糸偏(いとへん)が付いているのです。

では、なぜ綜という漢字から全体(綜合)という意味が出てくるのかというと、全体は原点から広がっていくものだからです。一個にまとまった全体には、必ず一定の秩序があり、秩序には原点や中心という元になるものがあります。そこからタテイトが伸びていって、大きな全体となっていくのです。

これからの文明は、地球と人類が一体となる「綜合文明」でなければなりません。お互い、もっとこの時代に生まれた使命に目覚め、自分に与えられた天分を生かしつつ、文明そのものを進化させていきたいものです。

何を為すために、私たちはこの世に登場したのか

では、知的生命体である人類の原点とは何でしょうか。何を為すために、私たちはこの世に登場したのかということです。

人間が誕生した意味は、日本神話にも書かれています。古事記によれば、人間の使命は「漂えるクニを修め理(つく)り固め成す」ところにあるとのこと。それは、高天原の神々が、イザナキ・イザナミに授けた言葉でした。

「漂えるクニ」とは、まだ発展途中の宇宙環境のことです。クニといっても、ステイツのことではありません。クは組む・括るのクで結合を、ニは似る・煮るのニで一様になることを意味しています。結合によって一様となったものが、大和言葉でいうところのクニです。ここでは、高密・高圧であった宇宙の初期状態をクニと呼んだのです。

そして「修め理り固め成す」は、しっかり整えて成長させていくということです。つまり、未完成の宇宙を進化させるところに、人間の役割があるということになります。

宇宙進化を担うといっても、あくまで舞台は地球です。地球を舞台に、万物の先頭に立ち、先に述べた多様化・連係化・一体化を進めて行く。それが人類の使命です。

綜合的見地に立つことの出来る日本人の使命

今までの文明は、部分観が強く、対立・闘争的で、精神よりも物質を偏重し、地球環境を破壊して止まないという、とても低いレベルにありました。綜合的見地に立つことの出来る日本人の使命は、まだ低レベルにある文明を修理固成させていくところにあるのです。

本来の日本人の徳性は、それを担えるくらい高いところにありました。自分が正しくて、清らかで、真っ直ぐであるからといって、やたらに相手を裁いたり、打ったり、従えたりしないという包容力のある姿勢です。また、光(氣)を放っていながらも、ギラギラした光り方はしません。光は自分の内部を照らすものであって、そこから外に漏れ輝いてこそ深いオーラとなるのです。

そういう様子を老子は、「(自分が)方正であっても(相手を)割(さ)いたりせず、(自分が)清廉であっても(相手を)傷付けず、(自分が)直情であっても(相手に対して)恣(ほしいまま)にせず、光があっても輝きを見せない」と表現しました。(続く)