No.92 問題の根源は、膨張資本主義+欲望民主主義にある

◇松下幸之助翁の無税国家論◇

『老子』第五十九章には、無駄や浪費に対する注意が述べられています。
倹約によって、国は永続するのだと。

松下幸之助翁の主張に、有名な「無税国家論」がありました。予算を全部使い切らないで積み立てていき、蓄積したお金を運用する。それによる利益を予算にあてれば税金が減り、やがて無税国家になるという説です。無税どころか、お金が余れば、さらに「収益分配国家」にもなるという案でした。

税金を納めなくてもいいなんて、まるで夢のような話ですが、理論的に不可能というわけではありません。

まず、国家予算の単年度制を廃止します。政治家は国家経営に努力し、国家予算を使い切らないで、その数パーセントを余剰とし複利で積み立てていきます。長い期間を要しますが、やがて金利収入で国家予算が賄えるようになり、高額所得者への富裕税などを除いて、原則無税になるというアイデアです。

年利6パーセントが見込めた頃の試算では、80年も経てば達成されるという見通しが出されていました(PHP研究所)。昨今では、低い利率により金利収入が少なくなり、(国内のみの運用では)その通りにはいきません。それでも、税金の引き下げにはなるはずです。

◇財政赤字は、文明の末期症状◇

国であれ地方であれ、予算の使い切りが赤字の根源となっています。未だに、年度内に予算を使い切ることに頭を悩ましているという、とても贅沢な話を耳にします。使い切りを改めないことには、財政は救われません。子孫にツケを残すのではなく、子孫に蓄えを残すことを政治の使命にしたいものです。

もっと大局的に言えば、膨張資本主義と欲望民主主義が根本原因でした。
右肩上がりの成長が無ければ維持出来ないという資本主義と、次々手当てや補助を要求する民主主義に煽られて、予算が着膨れのようになってしまったというわけです。

その結果、世界中が財政赤字に苦しむようになりました。既に、文明の末期症状と言っていい事態です。先送りされ続けてきたこの問題を、どこかで終わらせなければ人類に未来はありません。特に日本は、最悪の状態にあります。

◇お金を貯めるポイントは「分度」と「推譲」にある◇

さて、無税国家を目指す上での問題は、どうやってお金を貯めていくかにあります。その心得は、二宮尊徳の教えにありました。

そのポイントは「分度」と「推譲」です。「分度」は収入に応じて予算を立てること、「推譲」は倹約によって生じた余剰を将来に譲って蓄えることです。

赤字は少しずつ溜まっていき、やがて雪だるまのように大きくなります。
蓄えも少しずつでいいから貯めていけば、やがて大きな利潤を生むようになるはずです。(続く)