No.117 同志団結によって前進する、強固な活動体の誕生

◇昔から「道」が貴ばれた理由◇

老子・第六十二章の続きです。「天子が立てられ、補弼(ほひつ)の官が置かれるときに、両手で抱えるほどの璧(へき)を四頭だての馬車の先にして(捧げることが)あるものの、いながらにして(万物の根源である)道を贈ることには及ばないのだ」と。

「補弼の官」というのは、天子を補佐する最高の官職のことです。天子が立てられ、補佐官が置かれるとき、両手で抱えるほどの宝物である大きな玉(璧)を先立てて、四頭が引く立派な馬車が(天子に)贈られるのだそうです。お祝いの習慣ということなのでしょうが、そういう豪華な贈り物よりも、そのままで万物の根源となっている「道」を贈ることには及ばないというのです。

昔から「道を貴んできた理由は何か」というと、何かを「求めれば(道によって)得られ、罪が有っても(道によって)許される」からだと老子は言いました。それが、「道」が天下の貴きものとされている理由なのだとも。

◇原点回帰の動きと、蘇生復興の力◇

「道」は、万物の根源であり、天地自然の原理のことです。その例として、二極共生を教える「陰陽の原理」や、盛衰波動を示す「循環の原理」があることは既に述べました。それらの原理によって流れを掴めば、求めている必要なものは、格段に得る可能性が高まります。

その他にも、大切な原理があります。元に戻る働きである「復帰の原理」や、日本の根本思想である「中心の原理」がそうです(注:中心原理は老子の教えにはありません)。

何事も、一方にどんどん進めば、ある段階で反発力が生じ、元に戻ろうとする働きが起こります。崩壊が極まった後に原点回帰の動きが芽生え、一度“死んで”しまうと蘇生復興の力が生まれるというのも同じことです。

かつて悪を働いた者であっても、何かのきっかけで己の悪行を自覚すれば、本来の素直な自分に戻ることが出来ます。自分は完全無欠な善人であると思い込み、やたらに周囲を批判し、他人を裁いてばかりいる人よりも、はるかに魂が磨かれる可能性を持っていると言えましょう。

◇中心原理を生かして、生命体のように強靱な組織を育てる◇

「中心の原理」というのは、「あらゆる有機体には必ず中心があり、中心は常に一つ」という原則のことです。生命体をご覧下さい。有精卵という中心から、細胞分裂によって成長していきます。細胞や器官が部品のように寄せ集められ、組立機械のように生命体(全体)が完成するということは決してありません。

この原理を生かせば、生命体のように強靱な組織を育てることが出来ます。まず中心者が、最高の熱意で志を立てます。その志に共感した者が、あたかも細胞分裂のように、一人また一人と増えていきます。一気に完成させようとはしないで、じっくり仲間を生み育てていくのがコツです。

そうすれば、中心から部分に向かって、理念や志、目標が、タテにしっかりと伝わるようになります。個々によるヨコの結束力も十二分に養われ、簡単には崩れ難い組織になります。同志団結によって前進する、強固な活動体(クミ)の誕生というわけです。(続く)