No.118 大きい物は小さく扱い、小さい物は大きく生かす

◇大小を超越した上で、もう一度大小を捉え直す◇

大きい物は、出来るだけ小さく扱う。小さい物は、反対に大きく生かす。
被写体が大きくても小さくても、カメラを使って一枚の写真に綺麗に収められるのと同じで、大小に対して上手に対応するための心得というものがあります。

何かの問題があって、それがとても大きい場合、慌てないでまず全体像を掴むことが肝腎です。全体を観てさえいれば、でかさに圧倒されないで、一個の問題として対処することが出来るようになります。何から手を付けたらいいのかという解決の糸口や、手順も見えてくるでしょう。

反対に問題が小さい場合、不用意に舐めてかかるのは禁物です。
慎重に対応しないと、気の緩みから足を掬(すく)われかねません。

大小を超越した上で、もう一度大小を捉え直す。それが老子のやり方です。
そういう達人の心得が出ている『老子』第六十三章を学んでまいりましょう。

◇無為、無事、無味◇

《老子・第六十三章》
「無為を為し、事無きを事とし、無味を味わう。
大を小さく、多を少とし、怨みに報いるに徳を以てする。

難は其の易(やす)い内に図り、大は其の細の内に為す。
天下の難事は必ず易い内に起こり、天下の大事は必ず細の内に起こるものだ。

こういうことから(道家の)聖人は、終生大を為そうとしない。
それゆえ、よく其の大を成し遂げてしまう。

軽はずみな約束は、必ず信用が薄くなるし、安易な事が多いと、必ず困難が多くなってくる。こういうことから聖人は、躊躇(ためら)いながら慎重に、易い事を難しい事と(して対応)する。かくて、終生困難が無いのである。」

※原文のキーワード
起こる…「作」、こういうことから…「是以」、終生…「終」、大を為そうとしない…「不為大」、それゆえ…「故」、よく…「能」、成し遂げる…「成」、軽はずみな約束…「軽諾」、信用…「信」、薄くなる…「寡」、安易な事…「易」、困難…「難」、躊躇いながら慎重に…「猶」、易い事…「之」、かくて…「故」、終生…「終」(続く)