No.11 戦上手は、敵の誘いに乗らない

◇威張っている内は二流か三流◇

「優れた士」、則ち立派な武士は、決して荒々しくありません。気弱なのに強そうな態度を取ったり、相手を怖がらせるために虚勢を張ったりしません。実力以上に有能そうに見せることもないのです。

強がって威張ることを「武張(ぶば)る」といいます。威張っている内は二流か三流であり、志士や人物も一流になるほど武張ることが少なくなります。

いかにも出来そうに振る舞い、偉そうな態度を取る輩(やから)ほど、付き合ってみると中身に乏しいということをよく経験します。人であれ物であれ、中から滲み出てくる威厳や、奥深いところから輝き出る威光があるかどうかです。無ければ偽物、あれば本物となります。

◇「巧みに戦う者は怒らない」◇

この虚勢を張る、いわゆるハッタリ屋が「表実・裏虚」タイプです。このタイプの者は大抵(たいてい)、爪先立っています。常に重心が上がっていて、いつもカリカリしています。相手の挑発に簡単に乗せられ易く、思い通りにならないことがあると、たちまち怒りを爆発させます。

老子は「上手(じょうず)に敵に勝つ者は争わない」と言いました。戦上手は、敵の誘いに乗せられません。特に注意すべきは怒気で、「巧みに戦う者は怒(いか)らない」のです。

たとえ怒っているように見える場合も、それは仲間の士気を高揚させるための雄叫(おたけ)びか、注意を促すための演技であったりします。怒りは士気高揚のために生かすべきものであり、決してそれによって身を滅ぼすようなことがあってはならないのです。(続く)