No.20 物事を広める心得と工夫

◇臨界点を超えると勢い良く進むようになる◇

どんな分野であれ、物事を広めていく作業には、大変な努力が必要となります。普及には普及の心得なり工夫というものがあるのです。それについて、少し補足しておこうと思います。

その一つは、諦めない根気であり、成功するまで時間がかかるということへの覚悟です。始めてすぐに上手くいくということはなく、何事もいろいろな困難を超えて成功へ向かいます。

その成功へのプロセスにおいて、いよいよ火が付く臨界点というものが存在します。ある段階を迎えるまでは、努力してもなかなか報われなかったのに、そこを超えると勢い良く進むようになるという時点があり、それが臨界点です。

肝腎なことは臨界点までの辛抱です。事を起こした原点を忘れることなく、なかなか成果が現れなくても腐ることなく、志と希望を見失わないで前に向かわねばなりません。

◇人は見た目に弱く、ご褒美が励みとなる◇

第二に、広める工夫として、目立つ物を用意するということを挙げたいと思います。何かシンボルになる物があると、世間の目がそこに集中し、伝え易くなります。人は見た目に弱いもので、目で見て分かり易いということは、普及にとって欠くべからざる要素となります。

仏教伝来と共に広まった寺院建築や、戦国時代の城郭建築がそうでした。お寺であれば大きな本堂や仏塔、お城ならば重厚な城壁や天守閣です。あっと驚くような建造物があると、理屈抜きに感動し、有り難みや威厳を感じてしまいます。それによって、普及や勢力拡大の大きな力が生まれたのです。今日では、高層ビルはもとより、大きな塔や看板などが立派なシンボルとなっているのでしょうが、もっと新しい文明を感じさせる何かがこれから現れて欲しいものです。

また、シンボルマークを考案したりスローガンを作ったりして、それらを名刺に印刷し旗に掲げるのも、昔から宣伝の助けになっておりました。

それから、努力して結果を出した人に対して、何らかのご褒美を用意することが、普及にとって重要です。褒美は金品ばかりではありません。講座であれば受講の「認定証」や「修了証」、稽古事であれば級位や段位です。それらは努力を確認出来る仕組みであり、貰うことで大きな励みになります。焦らず、じっくり年輪のように成長していく上で、証書や級位・段位は、立派な道標(みちしるべ)となるのです。

シンボルを建てることも、旗を掲げるのも、ご褒美を用意することも、あくまでも普及の方便です。それら自体が目的になるわけではありませんが、広める上で決して疎かにしてはならない工夫というわけです。(続く)