No.22 無理矢理拡大しようとすれば潰れてしまう

◇身軽な分、レベルを落とさなくて済む◇

根を張ることが大事だからといって強引に根を引っ張り、早く育てなければいけないと焦って力任せに芽をつまみ上げれば、その植物は枯れてしまいます。会や活動も同じで、無理矢理拡大しようとすれば潰れてしまいかねません。

やたらに広めようとせず、中から起こる成長力を生かして、年輪のように育てることを基本とする会。それを「広めない会」と呼ぶことにします。

広めない会は、冷静に身の丈を計りつつ、徐々に大きくしていく会です。そのため維持への負担が少なく、拡大に労力の大半が取られるといった無理がありません。普及自体が会の活動目的化していき、会員が過度の労力を出して疲弊するということがないのです。

また、身軽な分、レベルを落とさなくて済みます。理念そっちのけで会員拡大をやれば、意識の低い人を沢山誘い込むことになります。誰でも構わないという闇雲(やみくも)な勧誘はしないのですから、合わない人が入ってくることがありません。学びの水準を下げてしまう心配はないというわけです。

◇広める前に押さえておくべきポイント◇

学問や手法は、それが良いものであれば、勿論(もちろん)広げるべきです。世のため、人のためになるからです。但し、広める前に押さえておくべきポイントがあります。

まず、理念がしっかりしていることが大切です。そもそも何のための学問なのか、誰のための手法なのか。存在の意味や、それを行うことの目的・価値が明確であるかどうかです。

次に、学問なら体系、技術や手法なら基盤が整っておりませんと、様々な風雪や試練に耐えうる本物にはなりません。色褪せることのない中身を持っているかどうかです。

そして、普及を担う組織の強靱さと柔軟性が問われます。理念を体現し、目的を一身に背負った中心者がおり、その近くに優秀な側近や幹部が集まっているかどうかです。組織の中心軸が確立されておれば、それが背骨となり、その強靱さによって回りは柔軟でいられるようになります。回りの柔軟性とは、組織の外縁が放つ安心感や信頼感、親近感や温かさであり、人々を引き付ける柔らかな雰囲気のことです。

兎に角、一度に広めようとしてはいけません。世の中には確かに「一気に広がった」と見える場合がありますが、それは、地道な基礎作りに励んできた努力の結果であるか、ブームの追い風に乗った場合です。前者なら大丈夫ですが、後者ですと墜落しかねません。一度上昇してからの転落ですから、その衝撃は大変なものとなるでしょう。(続く)