No.41 現代文明は、人間に幸福をもたらしているのだろうか

◇文明の意味や本質そのものから見直すときに来ている◇

お金というものは古代文明の昔から存在しておりましたが、とりわけ現代社会はお金がかかる世の中であり、全ての価値がお金で計られるようになりました。その原因に、欲望民主主義や膨張資本主義があります。

民主主義は国民の様々な要求に応えねばならず、政治は御用聞きと化します。資本主義は無限の物的成長によって維持され、拡大を止めることは許されません。それによって、欲望が際限無く膨張していく世の中が生まれたのです。特に我が国では明治以降に、欲望民主主義と膨張資本主義に乗った政治が行われてまいりました。

そして、明治から続く東京一極集中政治により、国会議員は中央から地方(選挙区)にお金を持って来るパイプ役、地方議員はその利益誘導の“手下”となってしまいました。地方は中央からお金を貰わなければ財政的に維持出来ないという、強い依存体質が固定化していったのです。

また、膨張資本主義の結果、自然破壊が進んで異常気象が常態化しました。地方の人材は、大都市圏に吸収されて過疎化が進行しました。都会ほど格差社会が深刻化し、家庭を持てても、その暮らしは狭い住居と長いローン(借金返済)に苦しむばかりです。企業は生き残りに必死となり、他社に負けないために効率化や合理化を進めました。社員はリストラの恐怖の中、めまぐるしく働くことを余儀なくされております。

現代文明は、本当に人間に幸福をもたらしているのでしょうか。800年毎に起こるという文明交代期の今、私たちは文明の意味や本質そのものから見直すときに来ているのではないかと思うのです。そういう投げ掛けが『老子』第七十五章に出てまいります。

◇人民が飢えるのは、支配者が税金を沢山取るから◇

《老子・第七十五章》
「人民が飢えるのは、支配者が税金を沢山取るからだ。それで飢えることになる。人民を治め難いのは、支配者が作為するからだ。それで治め難くなる。

人民が死を軽んずるのは、支配者の生への欲求が厚いからだ。それで死を軽んずることになる。生に作為しないことは、生を貴ぶよりも優れている。」

※原文のキーワード
人民…「民」、飢える…「饑」、支配者…「上」、税金…「税」、沢山…「多」、それで…「是以」、作為…「為」、欲求…「求」、優れる…「賢」  (続く)