NO.47 組織というものは、少し気を緩めると、たちまち硬直化していく

◇部門は部門の得点、個人は個人の成果のみを競い合う◇

頑な(かたくな)で融通の利かない組織があるかと思えば、生き生きしていて柔軟に対応してくれる組織もあります。前者は規則を守ること自体が目的化していて、自分の任務が何のためにあるのかという原点認識や、全体から観てどうなのかという大局観を忘れている可能性があります。

昔の漫画に、次のような場面がありました。レストランにパトカーが突っ込みます。そうしたら、レジ係の女性は運転手に向かって、「お客さん、食券を先に買って下さい!」と叫んでいます(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第3巻39ページ 集英社)。

その女性は、自分の任務を守ることには忠実であるものの、自動車が飛び込んできたという非常事態に対して、何をしたらいいのかが全然分かっていません。

自分が属している組織は、社会全体の中でどういう位置にあり、何を目的としているのか。自分自身は、組織全体の中でどんな役割を担っているのか。それらをよく理解しておかないと、いつの間にかレジ係の女性のように、マニュアル化された動作以外に為す術を持たないという、大変お粗末な状態に陥ってしまうのです。

組織というものは、少し気を緩めると、たちまち硬直化していきます。組織の存在意義や目的が見失われ、部門は部門の得点、個人は個人の成果のみを競い合うようになり、まとまりが無くなっていくのです。

戦時中の日本がそうでした。陸軍は陸軍の、海軍は海軍の戦争をし、それを内閣がまとめられず、戦争をどう終わらせるかというビジョンを欠いたまま無条件降伏に到りました。

堅さは脆さとなって死を導くが、柔軟であれば生き生きとする。それを教えている『老子』第七十六章に入りましょう。

◇堅くて強ばっているのは死の仲間◇

《老子・第七十六章》
「人が生きている間は柔らかくて弾力性があるのに、死んでしまうと堅く強(こわ)ばっていく。草木も生きている間は柔らかくてしなやかなのに、死んでしまうと枯れて萎(しお)れてしまう。

だから、堅くて強ばっているのは死の仲間であり、柔らかくて弾力性があるのは生の仲間となる。

こういうことから、武器は剛強によって滅び、木も剛強によって折れてしまう。強大なものは(滅んで)下に位置し、柔弱なものは(却って)上に位置するのである。」

※原文のキーワード
柔らかくて弾力性がある…「柔弱」、堅くて強ばる…「堅強」、柔らかくてしなやか…「柔脆」、枯れて萎れる…「枯槁」、仲間…「徒」、武器…「兵」、剛強…「強」、位置する…「処」(続く)