No.88 人類の英知が試されている

◇膨張して世界地図を塗り替えようとしている国・地域が3つある◇

西暦2015年の今、世界を見渡せば、膨張して世界地図を塗り替えようとしている国や地域が3つあります。

第一は中国で、かつて清朝であった頃の勢力圏を取り戻そうとしているように見えます。中国が埋め立てを進めている南沙諸島のある南シナ海は、清朝の勢力圏の中に入っています。

第二はロシアで、ソ連時代の版図の回復を目指しているのではないかと思われます。ロシアが編入したクリミヤ半島のあるウクライナは、ソ連時代の版図の中に含まれます。

第三は、中東のみならず世界を震撼させているイスラミック・ステイツ(IS、いわゆるイスラム国)で、昔のイスラム帝国の領域を再興させようとしているとも聞きます。そうであれば、国境線をまたいで活動するのは当然の行為ということになるのでしょう。

中国とロシアとIS、三者に共通するのは、欧米とは違う価値観の国・地域であるということです。中国は共産主義国ですが、本来はアジアを代表する大帝国です。ロシアはヨーロッパに含まれているとはいえ、ロマノフ朝の昔から独自の文化を創造してまいりました。ISはいうまでもなく、宗教も文化も違う西アジアに起こったイスラム過激派勢力です。

◇今日の欧州には、世界全体を導こうという意志も力も無い◇

800年周期論を説く文明法則史学の予測によれば、21世紀は東西文明が交代する世界史激変の転換期です。これまで世界をリードした欧米が衰退し、代わって中国・インド・西アジアなどが興隆します。

冷静に見て、今日の欧州には、もう世界全体を導こうという意志も力もありません。EUをまとめるのが手一杯で、ギリシャのようなデフォルトの危機にある国を抱え、北アフリカからは不法移民という“民族移動”を受けているのが現実です。

そして、台頭する中国は、アメリカの言うことを聞かなくなりました。勿論アメリカは現在も世界最強の国家ですが、未来への勢いがあるかどうかという意味において、アメリカの衰亡は誰の目にも明らかになっております。

文明交代期には、それまで栄えた文明とは異質な勢力が勃興し、その勢いが旧文明を終わらせてきました。800年前のモンゴル民族による史上最大の大帝国形成、1600年前のフン族・ゲルマン民族の大移動、2400年前のアレクサンドロス大王の大遠征などがそれでした。

◇異質の勢力に対しては、単に抑え付けるだけでは駄目◇

21世紀は今回の文明交代期です。世界史激変期に突入している現在、異質な勢力としてその動勢に注意すべき相手は、どうやら中国とロシアとイスラム過激派の三者になってきたという感があります。

これに対して日米欧は、G7などで結束し、これまでの秩序を何とか守ろうとしています。しかし、G7の世界経済への影響力は、年々低下しております。勃興する側の勢いというものを、旧勢力が人為で止めるのにも限界があります。

これら異質の勢力に対しては、単に抑え付けるだけでは駄目だと考えます。なぜ興隆してきたのかという意味を、世界史的役割としてよく自覚して貰い、その膨張が世界の発展と平和につながるよう促さねばなりません。

そうして、文明の交代を可能な限りスムースに進めていくことが出来れば、やがて東西共生文明が創造され、「地球人類体(地球と人類は一体であるという文明法則史学の祖、故村山節翁の造語)」が世界の常識となる日がやって来ることでしょう。人類の英知が試されるときに至ったというわけです。(続く)