No.91 無意味な争いに明け暮れない済む社会こそ、老子が理想とした世界

◇イギリス・フランス・アメリカと、ドイツ・イタリア・日本の戦い◇

歴史を振り返ってみれば、第二次世界大戦の原因も経済の混迷にありました。ニューヨークの株価暴落から始まった世界恐慌は、イギリス・フランス・アメリカなどの先進諸国に、自国保護を目的としたブロック経済政策を推進させることになります。本国並びにその属領を関税などで優遇して結束を固め、自給自足を営むための閉鎖的な経済圏を作ったのです。

自国の領土や植民地を囲い込むブロック経済政策は、他国に対して著しく排他的でした。既に広大な植民地を領有していたイギリス・フランス・アメリカなどには有効な方法だったでしょうが、遅れて資本主義に参入したドイツ・イタリア・日本など後進諸国には苦しいものとなりました。

座して死を待つわけにはいかず、ドイツはオーストリアやチェコスロバキアを併合し、ポーランドに進撃するなど東方に、イタリアはエチオピアを征服するなどしてアフリカに活路を見出しました。そして、日本は満州に生命線を求めます。

先進諸国としては、後進三国の拡大政策を放っておくわけにはいきません。結局、資本主義の社会秩序を早く起こしたイギリス・フランス・アメリカなどと、それを遅れて始めたドイツ・イタリア・日本が対立し、前者が後者を倒したのが第二次世界大戦であったという見方が成り立つわけです。

◇直線的な経済成長ばかり求めていられる時代ではない◇

第二次世界大戦の頃に比べて21世紀の今は、桁違いに経済規模が拡大し、相互依存の度合いも高まっています。もしも現在の経済システムが崩れますと、その影響は第二次世界大戦当時よりも格段に激しくなるはずです。

経済の行き詰まりから戦争に突入し、甚大な損害を被るという愚かな事態を繰り返すわけにはまいりません。経済の混迷を他国への進出によって打開するという強引なやり方では、何も解決しないということを改めて肝に銘じておかねばなりません。

しかし今はもう、現状の経済システムが崩壊したら困るからといって、直線的な経済成長を追い求めていられる時代ではなくなりました。無限拡大を前提とする経済システムは、有限な地球環境の中では既に限界に達しているのです。これからは、循環成長や年輪成長を重視し、永続可能な社会を模索しつつ、膨張するマネーに翻弄されることのない共生経済に移行するべきです。

それには、肩の力を抜いた生活や、背伸びしなくていい生き方が必要になります。但し、単なる消極的な諦めの人生の勧めとは違います。余分な力を抜いている分、しなやかな強靱さと生きることを素直に喜ぶ逞しさが無ければいけません。欲望の無限追求に左右されず、無意味な争いに明け暮れないで済む社会こそ、老子が理想とした世界なのです。(続く)