No.21 最古にして最新(太陽と日本、どちらも最も古くて最も新しい)

太陽は地球よりも古いのだから、太陽は世界の骨董品(こっとうひん、とても古くて価値の高い品のこと)と言えます。地球上のどんな物よりも、太陽のほうが古いのです。

しかし、清々(すがすが)しい朝を迎えて、東の空から昇る太陽を見たときに、誰一人として「古い物が、また出て来やがったぞ」などと文句を言ったりしません。空を赤々と朝焼け(あさやけ)に染めながら、ぐんぐん昇ってくる勢いに心打たれ、その崇高(すうこう、気高くて尊いこと)にして、しかも新鮮な姿に心から感動します。

太陽は毎日新しくなって、我々を照らしてくれます。太陽は、最古にして最新でもあるのです。それと同じように、日本の教えは、最も古くて最も新しいものです。

政治の面を見るならば、憲法という決まりのもとで一定の方針が立てられ、選挙で選ばれた議員が国民の代表となって行われる立憲代議政治が、今日(こんにち)の最新の政治とされています。独裁的な権力者による、わがままで好き勝手な独断専横(せんおう)政治ではなく、多くの人々の知恵である衆知(しゅうち)を集める政治が一番新しいというのです。

ところが、そういう政治は、我が国では神代(かみよ)の頃からありました。
天照大御神による肇国(ちょうこく、国のはじまり)の昔に、「天の安河原」(あめのやすかわら)というところに神々が集まり、議論を重ねて問題を解決したという神話があります。天の安河原は、今なら国会にあたるもので、日本では神代の昔から立憲代議政治が実行されていたのです。それは、皆の意見を採り入れ、それぞれの才能を生かすやり方であり、他国の歴史にありがちな独裁的・専制的な政治とは全然違っていました。

神話(『日本書紀』神代下)に、次のような話があります。タカミムスヒの神という「陽の神」(男性的で積極的な働きの神)が、神々を集めて言いました。
「私は、葦原中国(あしはらのなかつくに)というところを荒らす悪者を退治(たいじ)しようと思うが、いったい誰を派遣したらいいだろうか。皆の考えを隠さないで出して欲しい」。

このように、我が国では開闢(かいびゃく、)の昔から、合議の精神が普通に存在していたのです。これは、誠に素晴らしくて尊いことです。

林の補足:「葦原中国」とは葦が茂る中央の国のことで、天照大御神などが住む高天原と、死者の住む黄泉(よみ)の国の中間に位置しています。すなわち、地上世界である国土を指しております。(続く)