No.32 太陽は正義の実行者

正義(せいぎ、筋の通った正しい道)

正という漢字は、一に止(とど)まると書きます。気持ちが揺れていると、どちらかに決めることができず、二股(ふたまた)をかけるようになります。
そういうあやふやな態度は取らないで、一つの事をきちっと守り、心を乱さないでいるようすが正です。すなわち、迷いが消えて、意志が定まった状態が正なのです。

義は、筋道(すじみち)の通っているようすを表した漢字です。大義や義憤(ぎふん)、義士、義人といった熟語が、義の意味をよく示しています。
一番大事な義が大義、義に外(はず)れたことを憤るのが義憤、義に生きる志士が義士、義を守る人が義人です。

こうして正義とは、筋の通った正しい道であり、心を一つに決めて進んで行く常道(じょうどう、常に人が守るべき道)のことなのです。

ところが、私たちの日常の行動を反省してみると、厳しく言えば、その多くが二股です。条理(じょうり、筋道や道理)にそむき、常道に外れているのではないかと心配になることばかりです。

太陽は違います。どんなときも常道を進み、道を変えるようなことがありません。正義の実行者として、太陽よりも優れた者はいないのです。

それが、太陽が永く天に止(とど)まって、一切の生成を支配できる理由です。
人間も、常に太陽のように正道を踏んでいるならば、心の平安は、あたかも神のようでありましょう。

林英臣の補足:正には「一に止まる」のほかに、真っ直ぐ歩くという意味もあります。正は、発音を表す「丁(てい→せい)」と、歩く意の「止(足あとの象形)」が組み合わさった漢字であるという解釈(かいしゃく)です。どちらにしても、一本道を真っ直ぐ進むようすを表しております。

また義は、美しさを示す「羊(よう)」と、発音を表す「我(が→ぎ)」が組み合わさった漢字です。羊(ひつじ)は性格が温順で、よく群がります。整っていて美しいようすが羊(よう)であり、筋の通った美しい生き方が義ということになります。(続く)