No.45 先を行く人の失敗を見て、自分もそうならないよう戒めよう

10 思想尊重(しそうそんちょう、)

この世に存在する、すべての物に意味があります。意味もなく、偶然(ぐうぜん、たまたま)現れる存在はありません。必ず、原因や理由があって発生し、物となり存在となり、そして結果となります。生物であろうが、無生物であろうが違いはありません。目に見える物質世界と、目に見えない精神世界の区別もありません。この、原因と結果がつながっていることを、因果(いんが)の法則といいます。

思想もそうで、その考え方が生まれてくる原因と理由があります。それを考えないで、思想を頭ごなしに無用のもの、良くないものとして斥(しりぞ)けてはなりません。神様は、なぜその思想を誕生させたのか。その理由を、因果の法則に照らし、神意(しんい)として伺うことが大切です。

フランスには、労働組合を重視するサンディカリズムという思想があります。
資本家や政府の手を借りず、労働者が団結した労働組合によって、経済活動を運営しようという思想です。また、イギリスなどにはアナーキズムという、国家や政府は不要(ふよう)とする考え方が起こりました。

ロシアに現れたニヒリズムは、一切の権威(けんい、相手を服従させる威力)や価値を否定する思想で、虚無(きょむ)主義と訳されています。それから、マルクスなどが提唱した、私有財産を認めないことで、地位や身分の違いのない社会を目指すという共産(きょうさん)主義もあります。

こうして、いろいろな思想が存在しておりますが、それらは起こるべきところ、原因のあるところに起こっております。さらに、それが広がる理由のあるところに発達しているということが分かります。

実は、これらの思想のほとんどが、人間の真の進歩に逆らうものと言っていいのですが、だからといって思想が外国から入ってきたときに、単に恐れているようではいけません。逆に大喜びして、よく考えもしないで取り入れてしまうのも困ります。恐れることも喜ぶことも、どちらも間違いなのです。

「覆轍(ふくてつ)を踏む」という、戒(いまし)めの言葉があります。覆轍とは、転覆(てんぷく、ひっくり返ること)した前の車の車輪の跡です。後ろを走る車にとって、前の車の転覆は、注意すべき「失敗の前例」です。先を行く人の失敗を見て、自分もそうならないよう戒めた教えです。

因果の法則を基(もと)に、それぞれの思想が、その国に生まれた理由をよく考えてみましょう。そして、その思想によって国家がよくなり、国民が幸せになったかどうかを確かめてみるのです。そうすれば、それが覆轍となって、日本としてどうあらねばならないかが冷静に見えてくるはずです。(続く)