No.54 個々に立派になるだけではダメ

さて、こういう意見もあるでしょう。「それぞれ個人が立派になって活躍すればいいだけのこと。そうすれば社会も国家も、結果として発展し充実(じゅうじつ、中身が満ちているようす)していく」と。この意見は、誤解(ごかい)を招きやすい言葉です。間違った考え方が、そこに流れております。

どれほど個個人(ここじん、個人個人)が充実(じゅうじつ)しても、それらが中心に向かって心を一つにしていなければ、集合力を発揮(はっき)することができません。光は焦点(しょうてん、光が集中する一点)に合わさると、最高の力を現します。

家族も個々に活躍したところで、バラバラなままではダメです。そこに一家の向上を願う心がないと、それぞれの努力が結集されません。家族全体の幸福が、もたらされないことになってしまいます。

戦国時代では、武将たちが群雄割拠(ぐんゆうかっきょ、多くの英雄が林立しているようす)し、それぞれ武力が高まるよう、実力を磨いていました。そうして自国の充実に努めましたが、必ずしも国民全体の幸福にはつながりませんでした。それどころか、度重なる戦乱で国土は荒れ、人が死んだり傷ついたりして、人々の幸福は奪われてしまったのです。

林英臣の補足:「国家に目標がないと景気はよくならない」と教えたのは、経営の神様と言われた松下幸之助翁です。個個人が仕事にがんばるのは大事なことですが、それだけでは小さな成功ばかりで終わってしまいかねません。

そこに共通の国家目標があれば、それを目指し、伸びる人はもっと努力して成長します。やがて個々の努力がどんどん結集され、景気もよくなり国家全体が繁栄することになるのです。(続く)