No.55 心臓を健全にすれば、手足も全身も健康になる

そして、隣の国である支那(しな、チャイナと同じで中国のこと)をご覧ください。昔は立派な時代がありましたが、現在(大正時代頃)の支那は中心が定まらず、常に人民は、恐れと不安を感じながら生活している状態です。その原因は、中心に向かって一つにまとまっていないところにあります。

中心に向かう心を欠いたまま、個人個人が利口(りこう、頭の回転が速くて口先がうまいこと)になって実力を高めますと、かえって世の中を毒(どく)し、人々に害を与えることになってしまうことを忘れてはなりません。自分の利益のためだけに生きていく、自分勝手な人間を増やしてしまうからです。

だから、中心に向かって努力することは、中心の幸福のためにだけ生きることとは違うのです。中心の幸福と一人ひとりの幸福は、一つにつながっているのです。

そもそも中心を離れたら部分は存在できません。部分がなかったら中心は成(な)り立ちません。我が国の中心主義は、国民を大事にする本当の民衆主義であることに気づいて欲しいのです。血液の流れを司る心臓を健全(けんぜん)にすれば、手足も全身も健康になるのと同じことです。

林英臣の補足:生命体など、まとまった活動をする存在には、必ず中心があります。中心は、一つの集まりに一個ずつ存在します。二つ中心があったら、別々の存在となります。

着実に成長する組織(そしき)は、中心から広がっていきます。そして、中心の力の及ぶところまでが全体となります。

日本の組織は、中心に近づくほど無私の心が強くなります。無私の心で全体のために努力する人でないと、中心を担ったり中心を助けたりすることができません。それが日本の心、日本人の生き方です。(続く)