No.74 本国と属領、分離独立するべきかどうか…

どの国民も、それぞれ自分の国のために貢献し、自分の国を繁栄向上させています。それが、最高で最善の道徳であることを、もっと理解しなければなりません。

ここに、注意すべき点があります。それは属領(ぞくりょう)の民です。属領とは、その国に付属(ふぞく)した領土や、本国の支配下にある領土のことです。

属領の民は、自然なつながりによって本国の中心に結ばれ、一つにまとまるのが基本です。自然なつながりとは、歴史や文化、宗教や言葉などによる一体感(いったいかん)のことです。また、本国の中心とは、その国の君主や元首のことです。自然なつながりがあり、それによって本国の中心を素直(すなお)に尊敬することができるかどうかです。

でも、つながりが不自然で、属領が独立したほうが本国の利益(りえき)になり、属領の民としても幸福であるならば、そして独立してやっていけるならば、思い切って独立したらいいでしょう。そのときは、本国は広い心で属領の独立を受け入れなければいけません。本国の利益や都合(つごう)で、属領の民を抑え付けることがあってはいけないのです。

ただし、しっかり考えて欲しいのは、属領の独立が、本当に本国・属領両方の人々のためになるかどうかです。

最初だけ勢いで独立したものの、すぐに続かなくなり、今度は別の国の属領になってしまうような心配がないか。独立運動の指導者が、不満ばかり口にしている不平家(ふへいか)や、目立ちたいだけの野心家(やしんか)や、社会を乱(みだ)したい無頼漢(ぶらいかん、ごろつきや暴れん坊のこと)ではないか。

たとえ正しいと思ってやっている活動であっても、かえって独立のために負担が重くなり、人々を苦境(くきょう、苦しい状況)に陥(おとしい)れたりしないか。それよりも、むしろ一つに同化(どうか)して栄えることのほうが正しい道ではないかと。それらをよく研究し、一日も早く方針を定め、決して間違った方向に行かないよう注意(ちゅうい)することが大切です。

このように、忠君愛国(ちゅうくんあいこく)は、我が日本だけの精神ではありません。歴史に照らして間違いのない、外国にも通用する根本的なあり方なのです。

林英臣の補足:21世紀の今も、分離独立の問題が世界中にあります。ここに書かれている注意を、しっかり考えてから決めていくべきでしょう。(続く)