No.92 個人に個性があるように、国民にも国民性や国民的個性がある

3 個性と国民性(こせいとこくみんせい)

個人の持つ全能力を発揮している人は、必ず天性を生かしています。天性とは、天賦(てんぷ)の個性のことです。

天性を否定してしまえば、個人は滅亡に至ります。教育の意義は一人ひとりの個性を伸ばすところにあるのですが、もしも個性を誤解して破壊するようなことがあれば、教育は殺人行為ともなってしまいます。

そして、個人に個性があるように、国民にも国民性や国民的個性があり、それを国民教育によって伸ばさねばなりません。教育の基本は、普通科教育であれ専門科教育であれ、国民的個性の涵養(かんよう)と錬成にあることは明白です。

イングランドの哲学者であるホッブス(西暦1588~1679)は、「国民的宗教でないものを信ずるのは迷信である」と言いました。これは本当に的を射た言葉です。

また、救世軍創始者のブース大将は、日本を去るときに次のような一文を日本国民に寄せました。「日本国民は、今後益々世界史上における重要な役割をつとめるでしょう。最後に一言したいことは、日本が西洋諸国の文化や習慣、思想、学説などを取り入れる際に、細心の注意を払って頂きたいということです。かりにも日本国民にとって利益にならないことは、決して受け付けないようにして欲しいのです」。このように警告されたことを、深く味わうべきです。

国家の教育において、国民性の発揚(はつよう)を忘れることは断じて許されません。ところが今日(大正から昭和に入る頃)、学問に国境はないといった考えに惑わされて、教育が進むにつれて国民性が薄弱になったことは、本当に忍びがたいことです。

林英臣の補足:天性とは、天から頂いた我が個性のことです。天性を生かせば、天から頂いた我が使命を果たせます。それが天命に生きるということです。(続く)