その3 現代志士を育てるための知情意の学問はこれだ!

文明法則史学は、人類全史を研究対象とするマクロの歴史学であり、全人類が参加することの出来る「共通の座標軸」であるとも言えます。この学問を確立されたのは、市井の大学者であった村山節(むらやまみさお)先生(1911~2002)です。

文明法則史学の結論は次の通りです。世界文明は大きく東西に分かれ、800年毎に周期交代する。東西文明の交代期約100年間は世界史激変の転換期となっており、今後の交代期は21世紀の今(1975頃~2075頃)である。

発見の元は、巨大な年表作成にありました。大きな紙をつなげて幅10メートルの年表を作り、線を引いて1センチを10年とする目盛りを打つ。線は地域毎に分けて何本も引き、そこに文明や国家の盛衰、人物の登場や事件の発生、文化の創造と発展などについて克明に記録していく。この徹底した統計学的研究によって、文明波動の存在が判明したのです。

文明法則史学は、大局に立って世界人類を救おうとする現代志士の、必須の「知」の学問となります。この文明論による未来予測など詳しい内容は後で述べます。

それから、大和言葉の日本学です。大和言葉は漢和辞典の訓読みにあたる言葉であり、漢字が大陸から伝わる前から我が国で話されていた原日本語と言えます。「林」という漢字をリンと読めば漢字本来の音読み、ハヤシと読めば大和言葉による訓読みとなります。日本に入ってくる漢字全部に、大和言葉による読みを付けてしまったわけで、それは大変な文化事業でした。

言葉は思想そのものです。ある考え方が起こるから、それを表す言葉が生まれます。大和言葉には、日本民族の思想と心情がしっかりと込められています。マコト、ミナカ、ムスヒ、イノチ、メヲト、チスヂ、クミ、カミ、ナカイマなどの大和言葉は、どれも深い日本思想を表しています。

この大和言葉の日本学が、日本人としての誇りと情熱を持って改新活動に励もうとする現代志士にとって、必修の「情」の学問となります。大和言葉による日本思想の解説も、後で述べてまいります。(大和言葉を筆者に授けてくれたのは、国学者の故・河戸博詞先生です)。

もう一つが「意」の学問です。幕末志士にとってのそれは、儒学や武士道でした。西欧文明への偏りから生じた諸問題を解決していく現代志士にとって、今また東洋思想や武士道が必要な学問となってきました。西洋伝来の悪しき個人主義の弊害を打ち破るためにも、仁や義を大切にする東洋思想や、公(おおやけ)のために生きようとする武士道の復権が求められております。「意」の学問についても、後でもっと説くことになります。

ともかく、こうして林が講義してきた学問は、それぞれ知情意に当てはめることで一つに束ねることが出来ました。現代志士を育てるための知情意の学問はこれだという気付きに到達したのです。

そして、それらをまとめて「綜學」と呼ぶことで、講義内容が多岐に渡っていることの悩みが消えました。一つに絞らなくて良かった、全部が必要だったのだと。