その46 石器時代でお茶を飲み、現代でタバコをふかす!?

村山先生は10メートルの巨大年表を上から眺め、石器時代でお茶を飲み、現代でタバコをふかしたそうです。人類全史を鳥瞰(ちょうかん)することで、東西文明による800年周期交代の事実が発見されたのでした。

なお、800年周期というのは交代期が800年毎にやって来るという意味であり、実際の文明波は1600年で1サイクルとなります。それを「1文明年」と呼び、文明の「冬」から始まって「春」へ進み、さらに「夏」から「秋」へ到達して1サイクルが完結します。

文明の「冬」は、その前に存在した文明が崩壊した後の休息(クールダウン)期です。次の「春」は、これから創造する文明の準備期となり、「冬」と「春」とで1サイクル前半の800年になります。この前半800年は休息+準備のときで、現象的には文明の低調期として、外へ向かう活力に乏しく鎖国状態ともなり、経済は自給自足的になりがちです。

やがて1サイクルの後半に入ります。文明の「夏」と「秋」です。「夏」は旺盛な成長力が生じて文明が勢いよく成長するときとなり、創造的な美術や学術が花開き、活発な対外進出が起こって世界帝国が出現します。最後の「秋」は、1サイクル最高の文明が結実されます。アケメネス朝ペルシア、古代ローマ帝国、イスラム帝国など、世界史上に出現した巨大帝国の多くが「秋」の時期に登場しておりました。

さて、この1サイクルの“物差し”をヨーロッパ文明に当てはめますと、これまで3文明年が経過したことが分かります。その第一文明年の「夏」から「秋」は、クレタ島やギリシア本土のミケーネなどが栄えたエーゲ海文明が存在しました。第二文明年の「夏」から「秋」は、古代ギリシアや古代ローマ帝国が栄えたグレコ・ローマン文明が存在しました。第三文明年の「夏」から「秋」は、十字軍の遠征を経て大航海時代に入り、文芸復興のルネッサンスが起こり、西欧諸国(アメリカを含む)が世界を制覇したヨーロッパ文明が存在しました。そして、それぞれの文明年の「冬」から「春」にかけてが、文明準備期やダークエイジ(暗黒時代)、中世期となっています。

一方、ヨーロッパ文明と隣り合わせの西アジア文明を見ますと、これまで3+2分の1文明年が経過しています。その第一文明年の「夏」から「秋」はシュメール文明が栄え、第二文明年の「夏」から「秋」は世界帝国であるアッシリアやアケメネス朝ペルシアが栄え、第三文明年の「夏」から「秋」はササン朝ペルシアとイスラム帝国が栄えました。そして、それぞれの文明年の「冬」から「春」にかけてが、文明準備期や分裂と混乱の時代、西の文明下に敷かれた時代となっています。現在は第4文明年の前半(文明低調期)が終了し、やがて後半の文明高調期に入ろうとしているところです。

これらヨーロッパ文明と西アジア文明の「波動」を重ねますと、西の低調期は東の高調期、西の高調期は東の低調期となっていることが分かります。高調期と低調期が逆の、二重ラセン構造というわけです。

なお、「1文明年」が春・夏・秋・冬ではなく、なぜ冬・春・夏・秋の順番になっているのかについてです。それは、「秋」の終わりが節目となるところに理由があります。「冬」が休息、「春」が準備、「夏」が成長、「秋」が収穫なのですから、結実の時期である「秋」がゴールとなるのです。「秋」の終わりと共にそれまでの文明が終了・崩壊し、「冬」にクールダウンしてリセットされます。こうして、一文明年を通しての目標が「秋」の収穫にあるのだから、冬・春・夏・秋の順序になるというわけです。(続く)