その49 文明のバトンタッチと共生文明の創造

文明交代期は、異常心理が生じ易い時期でもあります。群集心理的な興奮状態によって、誰も望んでいないはずの戦争が発生する恐れがあります。今後、日本を取り巻く周辺において、絶対に戦争を発生させないよう十二分に留意しなければなりません。

文明交代期は、動揺が激しくなる危険な時期というだけではありません。東西文明交代による「文明のバトンタッチ」が起こり、それによって次に来る新文明が創造される黎明期でもあるのです。

バトンタッチの実例を述べましょう。西の文明であるギリシア・ローマ帝国文明の学術情報は、東の文明であるイスラム帝国へ伝わります。その学術はイスラム帝国で進化した後、十字軍時代にヨーロッパに戻されます。それが、ルネッサンスや大航海時代の基盤となったのです。

また、ルネサンス三大発明といわれる「羅針盤」「火薬」「活字印刷」は、いずれもチャイナの宋の時代に作られました。羅針盤は大航海を可能にし、火薬は騎士の戦いを終わらせて集団戦を導き、国家を挙げて戦うことになって絶対王制を成立させます。活字印刷は聖書の普及を促し、宗教革命を起こさせました。

今回の交代期である21世紀も、文明のバトンタッチが行われるでしょう。筆者は、それを「共生文明」と呼んでいます。西洋文明の成果(良いところ)を受け継ぎ、それを東洋精神で生かすところの東西融合文明です。医学の分野では、東西融合医学として、既に共生文明の実例が生まれています。

さて文明法則史学は、大局に立って世界人類を救おうとする、現代志士必修の「知」の学問であるということを理解して頂けたことと思います。村山節先生は、2002年逝去されました。先生は、とても感性の鋭い方です。大宇宙の意志や「地球人類体」(地球と人類が一体であるとする村山先生の造語)の“声”を一身に受け、見えない世界が願っている人類綜和への座標軸を、この世に見事に表してくれた大学者でした。(続く)