その89 釈尊や孔子など、偉大な思想家・哲学者が出て来る時期

ところで、釈尊や孔子など、偉大な思想家・哲学者が出て来る時期というものがあります。文明法則史学によれば、文明サイクル(CC)の終わり頃が、その時期となります。

文明サイクルは1600年で1サイクルです。前半800年は休息と準備、後半800年は成長と大成のときとなります。

これを季節に例えると、休息期が冬、準備期が春、成長期が夏、大成期が秋となり、全体で1文明年としてまとまります。

365日で一区切りとなる一年は、季節を春夏秋冬で捉えていますが、文明の季節はそれと異なります。自然界のゴールが「実り」にあることに倣(なら)い、冬→春→夏→秋の順序となっています。

旧SSが終わって、しばらくクールダウンするのが冬。続いて、苗を育てる春。どんどん成長する夏。そうして実りの秋です。即ち、秋の収穫に向かって、1600年の文明1サイクルがあるというわけです。

釈尊が存在したのは、紀元前563から同483年にかけてでした。同じ頃のインドに、もう一人の開祖が誕生していました。不殺生と無所有を教えるジャイナ教の開祖、ヴァルダマーナ(前549~前477)です。

仏教やジャイナ教が生まれる背景として、当時のインドに新しい自由思想と自由思想家の群れが起こり、それを都市の繁栄と商工業の発達が支えていたという現実がありました。

それから、伝統宗教であるバラモン教の形式化と祭式の複雑化も挙げておかねばなりません。バラモン教に物足りなさを感じた人々は、清新な学問と信仰を求めておりました。特にその欲求は、進歩的な都市部で起こります。そこで釈尊は、都市部を選んで布教に努めたのでした。

また、同時代のチャイナには、儒学の祖である孔子(前551~前479)が活動しています。仏教の開祖である釈尊、ジャイナ教の開祖であるヴァルダマーナ、儒学の祖である孔子、これらの存在時期が重なるというのは偶然ではありません。文明サイクルの秋の結実内容に、大思想・大哲学・大宗教の創造があり、その文明的エネルギーに乗って偉大な開祖が生まれた次第です。

なお、古代ギリシア哲学の祖であるソクラテス(前470~前399)も、ほぼ同時期でした。これは文明サイクルではなく、その下部構造である社会秩序(SS、ソーシャル・システム)における哲学思想創造期が背景にあったことを申し添えておきます。文明法則史学の座標軸に乗せると、世界の哲学・思想・学問がよく見えてきます。(続く)