その121 なぜ金持ちの娘は贅沢でワガママなのか~少女漫画のワンパターン

筆者の子供の頃、少女漫画の中に出てくる主人公の女の子は、父親が会社員で、さほど裕福ではない家庭に育ち、性格はとても善良、勉強はそこそこに出来るというタイプが一般的であったと記憶しています。それに対し、主人公を虐(いじ)める性悪(しょうわる)な子は、事業家か何かの金持ちの娘で、贅沢でワガママという設定でした。

まさに、資本家は悪人、労働者は善人という二元的な人間観が、そこに見られたと思うのです。私はそうした設定に接する度に、なんだか納得出来ない気分になりました。漫画の世界はそれでいいとしても、現実には金持ちで親切な人や、貧乏人で意地悪という人も存在しているのではないかと。

つまり、実際はざっくり分けて、(1)資本家や金持ちで性格の善い人、(2)労働者や貧乏人で性格の善い人、(3)労働者や貧乏人で性格の悪い人、(4)資本家や金持ちで性格の悪い人の四通りがあると思うのです。

これを縦軸・横軸による、マトリックスで示すと分かり易くなります。縦軸は上が善、下が悪、横軸は右が富貴、左が貧賤です。そうして四マスが出来、「右上」=善富、「左上」=善貧、「左下」=悪貧、「右下」=悪富となります。このように分類する図を、四元図(しげんず)と呼びます。

権力や資本を独占している者たちを倒すしかないと考えるのは、この図の左上と右下に注目することで起こった部分思考と言えます。この世には善貧と悪富がおり、前者はいつも後者に搾取され苦しめられている。善良な貧しい人々を救うには、悪い事をして豊かになった資本家たちを滅ぼせばいい、という考え方です。

ところが、実際のところ、右上の善良で豊かな人たちや、左下の真逆な人たちもいるのですから、そこを考慮しながら社会を改革していきませんと、偏った取り組みになってしまいかねません。

そこで、以下のような対応が必要になると思われます。(1)の善富タイプには、益々社会進化の先頭に立って頂く。(2)の善貧タイプには、豊かになるための能力や智恵を磨いて頂く。(3)の悪貧タイプには、まず善心を養い善行を積むことで徳の向上を目指して頂く。(4)の悪富タイプには、その能力で人々を苦しめたり弱者を虐(しいた)げたりせず、持てる智恵を世の為・人の為に生かし、困っている人たちを救うべきことを自覚して頂く。

このように心得ていけば、何かを破壊し誰かを倒さねば、この自分は報われず、生存が維持出来ないといった対立闘争の世界から抜け出し、円満融合に生成発展する世界を起こせるはずではないでしょうか。

それは理想論だと一笑に付さないでください。悪富VS善貧という二元論のままでは、人間社会をより正確に把握出来ず、全体観に立てないということを理解して頂きたいのです。

そんなことは分かっていると思ってもいけません。資本家や富裕者への嫉妬もあってか、それを倒せば世の中は良くなると、心のどこかで思ってしまうものです。多くの人間が、知らない内に、こうした二元論的人間観に洗脳されているということに注意が要ります。(続く)