その126 ファンや顧客がじわじわ増え、次第に繁栄していく「公得私損」の長期軸

それから、公智・公愚・私愚・私智の「智」を「得」に、「愚」を「損」に置き換えてみてください。そうしますと、さらに理解が進むと思います。

マトリックスの右上が「公得」、左上が「公損」、左下が「私損」、右下が「私得」となります。

「公得」は公を大切にするほど得をする、「公損」公を考えていたのでは損をする、「私損」は私利私欲に生きていたら結局損をする、「私得」は自己中心的に生きていてこそ得をする、という考え方や状態を表します。

この四元図では、左上から右下にかけての斜線が「公損私得」軸、右上から左下の斜線が「公得私損」軸となります。膨張資本主義下にあっては、「公損私得」が当たり前になっていました。公正や公益なんて意識していたら儲からない、私利私欲に取り組んでこそ利益は上がるものだという考え方です。

実際、膨張資本主義の下(もと)では、多くの人が「公損私得」で利益を上げてきました。すぐに儲けたければ、そのほうがいいと思います。

但し、どこかにしわ寄せが行くことになり、長くは続きません。老舗になどなるはずがなく、儲からなくなった途端に閉店・廃業となります。

それに対し、日本人の生き方や日本的経営においては、「公得私損」が本来の姿でした。国家や国民を思って生き、世の中やお客様のために仕事をしてこそ、その結果として利益が与えられ繁栄していく。でも、それらを忘れて私利私欲に走ると、どこかで行き詰まってしまうという公益経済思想です。

「公得私損」では、信用と基盤を創ることから始めますから、すぐには利益が出てこないケースが多いでしょう。しかし、智恵を働かせつつ辛抱していけば、ファンや顧客がじわじわ増えてきて次第に繁栄します。従って「公損私得」は短期軸、「公得私損」は長期軸の経営姿勢ということになります。(続く)