その8 提案の真価をトップが理解し、採用して貰えなければ宝の持ち腐れ

戦う前に考慮すべき五事と、情勢把握のための七つの視点について述べました。これら孫子の意見を、王がちゃんと聴くかどうか、聴いて生かすかどうかが問われます。

《孫子・計篇その三》
「私が述べた意見を、王がもし聴いたならば、兵を用いて必ず勝つことが出来る。それなら私は、この国に軍師として留まろう。

ところが、王がもしそれらを聴かない場合、兵を用いても必ず負けることになる。そのときは、私は去るしかあるまい。

私の意見をもとに、こちらが有利であるということが分かったならば、勢を起こして外征のための補強をしよう。勢とは、有利な状況に従いつつ主導権を制することである。」

※原文のキーワード
意見…「計」、分かる…「聴」、起こす…「為」、外征…「外」、補強…「佐」、従いつつ…「因」、主導権…「権」、制する…「制」

どんなに素晴らしい提案も、トップがその価値を理解し、採用してくれなければ宝の持ち腐れとなります。真価を分かってくれるトップの下でなら働けるが、そうでなければ何も出来ずに終わってしまう。それが、昔も今も変わらぬ軍師や戦略家の宿命です。

さあ、私の意見をもとに、自軍が有利であるということが分かったら早速準備を進めましょう。「勢」つまり有利な状況に従いながら、主導権を制すれば必ず勝てます。その孫子の言葉には、軍師としての自信が漲(みなぎ)っていました。(続く)