その21 戦闘しないで勝ちたければ、まず敵の謀略を見抜け!

孫子は「百戦百勝は最善ではなく、戦闘しないで敵兵を屈服させるのが最善である」と唱えました。そのためには、優れた知謀が必要となります。

《孫子・謀攻篇その二》
「すなわち、最上の戦争は敵の策謀を破ることで、その次が敵側の同盟関係を分断すること、さらに次が敵軍を討つこととなる。そして、最も下(げ)が城攻めだ。

城攻めは、已むを得ず行う方法である。敵が放つ矢や石を防ぐための大きな盾や、敵城に近付くための四輪装甲車などを整え、攻城器具を揃えるのに三カ月かかる。戦場で土塁を築くのにも、さらに三カ月かかる。

準備を待つ間、将軍が我慢出来なくなって、兵士を蟻(あり)のように敵城に取り付かせれば、兵士の三分の一を失う。しかも、城を落とせないで終わるというのが攻城の災いだ。

そういうことから戦上手は、敵軍を屈服させるのに戦闘をしない。敵城を落とすのに攻撃をしない。敵国を破るのに長期戦に持ち込まない。必ず痛め付けないで全うする方法をもって、天下に覇を争うのである。

そうすれば、兵力を損なうことなく、完全な勝利を収めることが出来る。これが知謀による攻め方なのだ。」

※原文のキーワード
最上の戦争…「上兵」、敵の策謀を破る…「伐謀」、敵側の同盟関係を分断する…「伐交」、敵軍を討つ…「伐兵」、已むを得ず行う…「為不得已」、大きな盾…「櫓(ろ)」、四輪装甲車…「??(ふんおん)」、整え…「修」、攻城器具を揃える…「具器械」、土塁…「距?(きょいん)」、我慢出来なくなって…「不勝其忿」、蟻(あり)のように敵城に取り付かせれば…「蟻附」、失って…「殺」、城を落とせないで終わる…「城不抜」、戦上手…「善用兵者」、敵軍を屈服させる…「屈人之兵」、敵城を落とす…「抜人之城」、敵国を破る…「毀人之国」、長期戦に持ち込まない…「非久」、必ず痛め付けないで全うする方法をもって天下に覇を争う…「必以全争於天下」、兵力を損なうことなく…「兵不頓」、完全な勝利を収めることが出来る…「利可全」、これが知謀による攻め方…「此謀攻之法」

政治の一番の目的は国家の存立と国民の幸福にあるのですから、食うか食われるかという陣取り合戦の中で心掛けるべき基本は、長期戦に巻き込まれることの無いよう注意しつつ、確実に敵を屈服させるところにあります。

そのための最上の方法が「敵の策謀を破ること」です。「何が狙いなのか」という相手の真意を見破り、敵が巡らせてくる陰謀を早期に察知し、それを的確に封じ込めねばなりません。

一見平和に見えるときに仕組まれる工作に要注意です。重要な土地・島や、森林・水源などが、知らないうちに他国の手に渡っていないかどうか。政界や役所、企業や法人、マスコミや出版社、大学や学会・研究機関などに、“敵側のスパイ”が侵入していないかどうかを常にチェックしておく必要があります。

本格的に攻めてくる前に、相手が仕掛ける謀略というものが必ずあります。それらを見抜いてしっかりガードすることは、国民に対する国家の責務です。とにかく「ここまで侵入しておけば、あとはいつでも武力侵攻出来るだろう」などと思わせることの無いよう、確固たる国防に努めておかねばなりません。(続く)