その22 同盟国を遠くに見付けるときと、近くの国同士で同盟するとき

戦闘しないで敵を屈服させるための方策。その第一が、敵の謀略を早期に見抜き、策謀が浸透する前に破っておくということでした。そして「その次が敵側の同盟関係を分断すること」となります。

食うか食われるかという厳しい世界の中で、国家は鎬(しのぎ)を削って陣取り合戦に励んでいます。どの国も存亡を懸けて戦い、国益を守るのに必死です。そこで、敵国に対抗するため、利を同じくする同盟国を求めることになります。

同盟国というのは、隣に探すのは難しいものです。隣国同士だと、国境争いを抱(かか)えていたり、歴史的な怨恨を抱(いだ)いていたりするからです。従って、同盟相手は離れたところに見付けざるを得ません。

この同盟国を遠くに見付ける策を「遠交近攻」策と言います。遠くの国と親しくし、近くの国を攻めるという意味で、司馬遷の書いた『史記』范雎(はんしょ)伝に出てきます。

勿論、隣国同士で同盟する場合もあります。それは、どちらも覇権的な強大国に飲み込まれそうなときです。隣り合う国々の利害が一致し、連合して大国に対抗するわけです。但し、その小国連合は、強大国による切り崩しに注意しなければなりません。

チャイナ戦国時代の例ですが、強大国となった秦に対抗するため、他の6カ国が同盟しました。これを「合従(がっしょう)策」と言い、蘇秦(そしん)という者が図りました。それに対し、秦が6カ国を個別に切り崩したのが「連衡(れんこう)策」で、張儀(ちょうぎ)という者が唱えました。

戦国時代というと、刀や弓で毎日戦い続けていたかのように思われがちですが、実際は謀略が飛び交う外交戦が基本だったのです。(続く)