その23 孫子の兵法と城攻め~リスクを具体的に考えよ!

そうして「さらに次が敵軍を討つこと」となります。実際の戦闘は、敵の謀略を未然に防ぎ、同盟関係を分断させたのちに行うことであって、いきなり軍隊を出動させて戦うというやり方は、決して採ってはならないことでした。

「そして、その下が城攻め」です。最も下策が城を攻めることであり、それには理由がありました。

先述の通り、チャイナの城は都市全体を高い城壁で囲んでいますから実に広大で、それ自体が国(城塞都市)であり、城内には豊かな食糧や物資が蓄えられています。しかも城は、見晴らしの良好な平原の中にありますから、基本的に守る側に有利、攻める側に不利となります。膠着状態が続けば、攻撃側の国力が消耗されるだけとなってしまうのです。

そこで、孫子は「城攻めは、已むを得ず行う方法である」として、具体的にそのリスクを示しました。「敵が放つ矢や石を防ぐための大きな盾や、敵城に近付くための四輪装甲車などを整え、攻城器具を揃えるのに三カ月かかる。戦場で土塁を築くのにも、さらに三カ月かかる」と。兎に角、攻城戦は準備が大変だったのです。

さらに、心理戦にも注意が要ります。城内から敵をバカにする野次が飛んで来れば、攻め手の将軍の頭がカッカしてきます。そして「準備を待つ間、将軍が我慢出来なくなって、兵士を蟻(あり)のように敵城に取り付か」せます。

「蟻のように取り付く」というのは、敵の城壁を、兵士が蟻のように這(は)い上ろうとする様子です。でも、敵の思う壺(つぼ)です。上から矢を放たれ、石を投げ落とされ、蟻地獄に入った蟻のように次々と落とされていくでしょう。

また蟻の例えは、その行列のように部隊が細く長く広がってしまう状況とも考えられます。当然、どこも手薄となってしまいます。

いずれにせよ、敵から丸見えなのですから、簡単に標的にされ「兵士の三分の一を失う」ことになります。「しかも、城を落とせないで終わるというのが攻城の災いだ」というわけです。(続く)