その28 トップと補佐役の間の、報告・連絡・相談を密にしよう!

「わけも分からないまま、しゃしゃり出るようなトップになってはいけない」。この戒めは、立場の上がる壮年以降の者たちへの注意事項です。これから成長しようとする部下や後輩たちがいるのに、上役や先輩があれこれ言い過ぎていたら、若者たちは伸び悩んでしまいます。後進に実際の行動を任せた以上、言行が基本となる理念に外れない限り、後は信じて見守らねばなりません。

そのことを孔子は「六十にして耳順(したが)う」(『論語』為政第二)と言いました。60歳くらいになったら、年下の者たちの言うことにしっかり耳を傾けることが肝腎だという意味です。

人間は、年を取るほど自己中心的になりがちです。相手は嫌がっているのに、一方的に自分が言いたいことを喋り続ける。無駄な言葉が繰り返され、内容が支離滅裂。これでは本当に残念であり、加齢と共に「聞く耳」が重要になる所以(ゆえん)です。

では、どうしたらいいでしょうか。まず、部下の言葉を遮(さえぎ)らないことから始めましょう。つまらなそうな顔をして目をそらしたり、相手が話している途中で言葉を遮ってしまったりするような態度を慎み、部下の言葉に対して相槌(あいづち)をついて頷くのです。

部下のほうから話し出せる雰囲気づくりも大切で、こちらから質問するなどして会話を誘導しましょう。これらを心掛ければ、しゃしゃり出る回数が減り、相手を受け止める器量が生まれます。口を出し過ぎることの災いも、軽減されていくと思われます。

君主と補佐役の緊密な関係。これを、原文では「周」の一文字で表しています。「周」には、巡って行き渡るという意味があります。君主と将軍、トップと補佐役の意思疎通がよく巡り、その言わんとするところがしっかり行き渡れば、両者の関係は息が合って上手くいきます。

補佐役の側への注意ですが、トップに疑心を起こさせないよう注意してください。現場で身勝手な振る舞いをしたことが伝わって、トップから背信を疑われるなどということは全然よろしくありません。もしも「俺が真の社長だ!社長よりも俺の言うことを聞け!」などという傲慢な態度が補佐役に現れたなら、それが酒席の発言だとしても、むしろ酒が入ったことで露(あら)わになった本音と見なされるべきでしょう。

兎に角、トップと補佐役の間の報告・連絡・相談を密にすることが、組織として動く上での基本中の基本となります。いわゆる「報連相」です。報連相は、何か起きたときにするものではなく、何も無いときこそ間を開けないで心掛けるべき基本動作なのです。

疑心が生ずるきっかけは、案外小さい事が多いものです。その、ちょっとした「あれっ、変だな」と感じる事が3件くらい重なりますと、人の感情は、それ以後何を見聞きしてもマイナス方向へ傾くことになってしまいます。それを防ぐのが報連相であり、簡単な一言で殆どの行き違いは防げるはずです。

なお、報連相は下から上に対してばかりでなく、君主から将軍へ、トップから補佐役へ、社長から役員幹部へ対しても、こまめに行うべき日常業務です。(続く)