その45 定石通りの攻撃と奇襲攻撃、これらを巧みに組み合わせよ!

孫子によれば、攻撃には「奇正」の別があります。「正」は「正法(正攻法)」を意味し、正規軍による定石通りの攻撃法です。正面突破を可能とさせる、正規の作戦が正攻法となります。

これとは別に、敵の虚(弱点)である搦め手(からめて、裏門・裏側)や側面を攻める方法があり、それを「奇法(奇攻法)」と言います。状況の変化を読みながら、虚に対して奇襲攻撃を仕掛けるやり方で、特殊編成の遊撃隊が担当します。不正規兵力によるゲリラ戦も奇法に含まれます。

このように正法と奇法は別個の戦い方ですが、奇正の運用は組み合わせが重要になります。正法において必勝の準備を整えつつ、奇法を効果的に用いることで、勝ち易きに勝っていくのです。

《孫子・兵勢篇その一》
「およそ戦闘というものは、正法で合戦し、奇法で勝つことになる。そこで、巧く奇法を使う者は、窮まり無きこと天地のようであり、尽きぬこと揚子江や黄河のようである。それは終わってはまた始まる日月や、去ってはまた生ずる四季と同じだ。

音は五音に過ぎないが、その(組み合わせによる)の変化(の多さ)は聞き尽くせない。色は五色に過ぎないが、その(組み合わせによる)変化(の多さ)は観(み)尽くせない。味は五味に過ぎないが、その(組み合わせによる)変化(の多さ)は味わい尽くせない。

戦いの勢い(を作るの)は正攻法と奇攻法に過ぎないが、その変化(の多さ)は窮め尽くせない。正攻法と奇攻法が相互に生かされ合うことは、円環の端が無いのと同じだ。一体誰が、これをよく窮められようか。」

※原文のキーワード
正攻法…「正」、合戦…「合」、奇攻法…「奇」、巧く…「善」、奇攻法を使う者…「出奇者」、尽きぬこと…「不竭」、揚子江や黄河…「江黄」、終わってはまた始まる…「終而復始」、去ってはまた生ずる…「死而復生」、同じだ…「是也」、音…「声」、~尽くせない…「不可勝」、戦いの勢い…「戦勢」、相互に生かされ合う…「相生」、円環…「循環」、誰…「孰」 (続く)