その58 同志と力を合わせ、「維新回天の勢い」を起こすべきときは今!

こうして『孫子』兵勢篇では、「勢い」を起こすことの重要性を学びました。その最後に示されたポイントが2点あり、一つは自軍を一丸にまとめ、丸太や丸い石のような勢いを持たせよということ、もう一つは、それをよく転がる状況に置けということでした。

個々がよく繋(つな)がるネット社会の今日にあっても、事業活動であれ社会運動であれ、その時時(ときどき)の個人的な関係に頼った散発的な動きのままでは、世の中を大きく変える「勢い」を起こすことは困難です。

そこで、活動や運動を盛り上げるには、やはりそれに関わる人々の共通認識というものが必要になります。

ではどうすればいいかというと、共通認識の中身に「共通の危機意識」と「共通の理想」を入れることが必須です。前者は現実、後者は理想であり、両者のギャップを埋めるところに「共通の志や目標」を定めるのです。理想に向かって現実を引き上げていけるよう、志や目標を立てよというわけです。

また、それを達成するための具体的方法・手段と、誰が何を担当し、いつまでにどこまで進めるかといった工程表も作るべきです。その上で、進捗(しんちょく)状況を基にした報告・連絡・相談など、情報の共有化が一丸となる上で不可欠であることは言うまでもありません。

勿論(もちろん)志や目標は、それを立てたからといって、必ずその通りになるかどうかは、やってみなければ分かりません。志を立てることや目標設定自体が目的化し、その表明がゴールとなったり、計画立案で満足したりするという“錯覚”も起こり得ます。

中には“計画マニア”とでも呼ぶべき人もいます。計画があまりにもマニアック(緻密)過ぎて余裕が無く、最初に躓(つまず)けば、全てが終わりとなってしまうような柔軟性に乏しい輩です。

そういう残念なケースに陥らないよう、くれぐれも注意が要りますが、やはり進む道を決めた上で取り組むのと、出たとこ勝負で無計画にやっていくのとでは、結果に自ずと違いが出て来ます。たとえ計画通りに行かなくて途中で修正を加えることになり、当初の予定より遅れが生じたとしても、その遅延は無計画な状態に比べればずっと少ないはずです。

それは、多くの方々の立志と、その目標設定のサポートをしてきた筆者の経験から明確に言えることです。計画通りどころか、むしろそれ以上に実現が速まったという体験談も、よく耳にするほどです。

この立志と目標設定の効用は、個人ばかりでなく集団においても同様に発揮されます。活動体としての「共通の志や目標」をすり合わせていけば、低迷している組織を孫子の言う「丸い岩石」に育て上げ、大きな勢いを起こすことは決して不可能な話ではないのです。

それから、それをよく転がる状況に置けということについては、既に世界は、文明転換期の最も暴風雨吹き荒れる時期(2025~2050年)に入ろうとしています。日本は、歴史上最大の国難に立ち向かおうとしています。

つまり、時代そのものがよく転がる状況となってきました。同志と力を合わせて「維新回天の勢い」を起こし、思う存分「立志大成」に生き抜くべきときは、まさに今なのです!(続く)