その59 現場には先に到着し、後から相手が来るのを待て!

先にも述べた通り、先手準備は勝利の基本です。何事も早めに準備することを習慣にすれば、直前になって慌てることが少なくなり、落ち着いて事に当たることが出来るようになります。

反対に、後手に回ることが増えるほど、足元しか見られなくなります。大局を見失って部分に囚われ、抜けやミスが多くなっていきます。そこへまた新しい問題が舞い込んでくるのですから、ストレス満載となり、酷(ひど)ければ毎日がパニック状態となるでしょう。

そこで孫子は、現場には先に到着して、後から相手が来るのを待てと教えました。この「先に到着する」という心得だけでも、後手に回って身動きが取れなくなるという悪循環から抜け出す上で、まず身に付けたい習慣なのです。

《孫子・虚実篇その一》
「孫子は言った。先に戦地に到着して敵を待てば楽だが、後から戦地に到着して戦いに向かうと苦労する。

そこで、戦いの上手な者は、相手を(こちらの思うところに)誘い出すが、相手(の思うところにこちらが)に誘い出されることはない。

敵兵を自分から来させてしまうのは、相手を利益で誘うからだ。敵兵を来ることが出来ないようにしてしまうのは、相手を損害(の予想)で諦めさせるからだ。

そして、敵が休んで安楽ならば疲れさせ、飽きるほど食べていれば飢えさせ、落ち着いて安定していれば動揺させるのだ。」

到着…「処」、楽…「佚」、向かう…「趨」、戦いの上手な者…「善戦者」、相手…「人」、誘い出す…「致」、敵兵…「敵人」、来させる…「至」、相手…「之」、利益で誘う…「利」、来ることが出来ないようにする…「不得至」、損害で諦めさせる…「害」、休んで安楽…「佚」、疲れさせる…「労」、飽きるほど食べる…「飽」、飢えさせる…「饑」、安定…「安」、動揺…「動」(続く)